ヴァチカンのモザイク工房見学
ヴァチカン市国は普通の街ではないので自由に歩けるところはサンピエトロ広場のみ。寺院と美術館へは服装チェックとセキュリティを通って入れることになる。とても小さな市国なので(面積44ヘクタール)、内部はほとんどが寺院と美術館で占められている。後ろに位置する様々のヴァチカンの機関には通常は入れないし、庭園へはヴァチカン美術館がオーガナイズするツアーに入らないとダメ。今回は私が仲間に入れてもらっているローマの日本語ライセンスガイド協会から内部のモザイク工房見学に行って来た。もちろん、ぽ~んと入れるところではないので、前もって工房の代表者に連絡をし、アポを取る必要がある。場所は寺院に向かってちょうど後ろ左側になるが、例によってセキュリティを通り、許可を見せ、工房へ。工房代表のP氏がモザイクの歴史をざっと説明してくれる。モザイクはエジプトあたり(オリジナルはアラブ?)で生まれたとされ、古代ローマでは例えば大浴場の床、皇帝宮殿の床などと様々に使われていた。西ローマ帝国滅亡後は、モザイクの伝統は東ローマ帝国に残り、イタリアではヴェネツイアにモザイク師たちが活躍していた。(ヴェネツイアのサンマルコ寺院内部を思い出してもらいたい)そこで、現在のサンピエトロ寺院が建設され、クーポラのモザイクを作るにあたって、レオ10世はヴェネツイアからモザイク師たちを送って欲しいと当時のヴェネツイア共和国にお願いしたという。サンピエトロ寺院内部にある24枚の絵は1700年代から1800年代にかけて現在のモザイクに置き換えられた。その際には絵を運ぶことが難しいので、コピーを作成した後モザイクを作っていった。このモザイクで作られた絵はほとんどが現在修復されてきれいになっているが、修復は全てこの工房(11人が働く)でされている。これはモネのモザイク版。そのほかに、工房では例えば法王がアメリカ大統領に会見する際にプレゼントするモザイクも作るし、個人的なお客様からの要請でモザイクの作成もする。現在もっとも多いお客さんはアメリカからのものだという。お値段はというと、小さなもので2,3千ユーロから可能だそうで、それには送料も保険も含まれている。これは玄関に飾られていたゴッホのモザイクバージョン。印象派が多いのは世界中ファンが多いから。ただ、お願いされても、ヴァチカンなので、出来ない作品というのがあるという。例えば、ヌードなんかはもちろんダメ。興味がある方は私の方までご連絡を。