ミケランジェロの天井画についての本
田中英道氏のシステイーナ礼拝堂天井画についての本を読み終えた。フレスコ画については、私も時々描くことがあるし、実際にシステイーナ礼拝堂には昔から仕事で通っているので、非常に興味深かった。まず、フレスコ画を描くときに下絵を実際に移す作業についての彼の意見。一般的に言われるスポルヴエロ(石炭の粉を下絵の穴から落としていく)ではなくて、プンテッジャートウーラ(下絵を穴をあけて移す方法)とインチジオーネ(下絵を壁に切り込みを入れて移す方法)の両方が使われたのではないかと、実際に天井画の修復作業に参加しながら意見が述べられていた。また、非常に難解なミケランジェロの天井画の解釈については、土、水、空気、火の4大元素が世界を作っているという哲学にもとついて、色や人物が描かれているのではないかと。ミケランジェロの世界像著者:田中英道価格:3,456円(税込、送料込)楽天ブックスで詳細を見るキリストの祖先と言われる人物たちが、実はみんな巡礼者の恰好をしていること、これは私たちが生きている世界は一種の巡礼であるというミケランジェロの考えが描かれていると。天井画についてもっと詳しく知りたいと言う方には、専門的だけれどお奨め。