ミケランジェロ作のキリスト像
現在のような難しい時に、自分が好きなものがあるというのは、心の励みになる。仕事ができないので、昨年辺りから自分が住む地域の認識を深めるということをやっている。まずは、古代エトルリア文化の勉強だった。もちろん、勉強は終わると言うことはないのだが、とりあえず何冊かの本を読み、博物館や重要なスポットを訪れたりしている。単に古代エトルリアと言っても、単一民族ではなくて沢山のそれぞれの特徴ある民族の総称がエトルリア人になり、内陸部、海岸、南北など、かなり広範囲に渡って存在していた。昨年訪れたファレリアという場所が内陸部にある。ここはやはり古代ローマに紀元前241年、古代エトルリアの街が滅ぼされてしまった所で、そこにあった古い街は現在でも地下に残っているらしい。ポンペイの半分くらいの街がレーザーで確認されているとか。内陸部ですごい見つけものだったのが、やはり昨年訪れたバッサーノ ロマーノという街。ここはあのカラヴァッジオのパトロンとしても知られていたヴィンチェンツオ ジュステイニアーニが持っていた屋敷があり、今はパラッツオ ジュステイニアーニ オデスカルキという名前で知られている。ジュステイニアーニ家がオデスカルキ家に売ったためだが、現在は国有で、修復が待たれる場所だが、内部は見学可能でフレスコ画などが見学できる。裏山の傾斜に作られた広大な庭園も素晴らしかったのだが、現在はまだ見学できない状態。そういえば、フェッリーニの映画、甘い生活で撮影に使われたのが、この屋敷になるという。ファッサードには巨大な彫刻がまだ残っている。中庭と奥の広大な庭園を見るロッジャ。フレスコ画は、ドメニキーノやズッカリの工房によるらしい。このジュステイニアーニ家の霊廟になるはずだった、教会が聖ヴェンチェンツオ教会で、とても大きな僧院が横にある。教会の奥に大事に保存されているのが、ミケランジェロ作のキリスト像。実は、ミケランジェロが、ローマのサンタ マリア ソプラ ミネルヴァ教会にあるキリスト像を作ったときに、一番先に彫ったのが、これ。最後に顔まで彫って、顔に出てきたのが大理石の中にときどきある黒い線。そこでこれはダメ、ということで2番目に彫ったものが現在ローマのサンタ マリア ソプラ ミネルヴァ教会にある。(今は教会ごと修復中。)一番目のキリスト像をこのヴィンチェンツオ ジュステイニアーニがのちにゲットして、当時の好みで、あのベルニーニに顔の部分を修復させたのが、これ。だから、顔は全くベルニーニ作という感じ。聖ヴィンチェンツオ教会ファッサード。これこれ。ミケランジェロ作のキリスト像。顔の大理石の黒い線。残念。この教会から少し離れたジュステイニアーニ家の屋敷まで直接道を作ろうという計画があった、という話にびっくり。イタリアはこんな小さな街にも宝石があって、奥深し。Monastero San VincenzoVia San Vincenzo, 8801030 Bassano Romano, VTtel. 39 0761 1762176教会は開館時間8.30/12.30 15.30/18.30に開いており、その際には保存されている礼拝堂の柵越しに見ることが可能。今のところは、特別な機会でない限り、礼拝堂内部の見学はかなり難しい。Palazzo Giustiniani OdescalchiPiazza Umberto I,01030 Bassano Romano, VTtel. 0761 636025開館は現在のところ、火曜日と土曜日午前中。8.30/13.30入場料は無し。