ローマのゴッホ展
ウクライナ侵攻による戦争(になっていると思う)は終わらないし、コロナもずるずる続くし、インフレはすごいし、と考えていると暗くなる時があるが。芸術の秋到来で、何とか気持ちを引き上げようと先日ローマのボナパルテ館で始まったゴッホ展に行って来たので簡単ながらその報告。ちなみに、ボナパルテ館はあのナポレオンの母上が晩年住んでいた場所で、以前は彼女が緑の囲いがあるバルコニーに出ることができた。(車いすだった彼女がヴェネツイア広場の人々を眺めるため、しかし自分は見られたくなかったので囲いを作らせたと言われている)ゴッホ展はすごい人気で、夏から予約を受け付けていた。予約をしていくのがベターだが、無しでも並んで入場は可能。或は朝一番でどうぞ。今回はオランダのオッテルロにあるクレラーミュラー美術館より彼の作品が約50点来ている。オランダのアムステルダムにあるゴッホ美術館は行ったことがあるが、そのほかにも彼の作品が多い美術館がオランダにあることは知らなかった。2フロアーに渡って彼の作品が年代順に並べられているので非常に興味深い。また、作品と作品の間には彼がお兄さんのテオに書いた手紙(有名ですよね)からの言葉などが並べられていて、ゴッホがどのように考えて絵を描いたのか、というのがよく分かるようになっている。彼の初期の作品は暗い色彩で描かれたじゃがいもを剥く女性とか、畑の人々とか、が多い。彼の言葉に、石炭工夫や織物職人はまだ別の人種だ、他の労働者や手職人と何か違わせるものがある。私は彼らに大きな親近感を感じる。いつの日か、まだ未改革とも言える彼らを知らしめるように描くことができたら、幸せだ。私が出来るようになりたいのは、手を描くことではなくて、ジェスチャー。数学的にちょうどの頭でなくて、そこにある深い表現。例えば鍬で耕す農夫が、頭を一瞬持ち上げたときに風の匂いを嗅ぐような。つまり、人生。段々と明るい色を使うようになっていくわけだが、これも彼の言葉にあるのは、段々醜く、年取って性格も悪くなり、病気がちで貧しくなるがそれと同時に色彩を輝かしいものにし、良く接近した色を使い自分のリベンジを取りたいという願いが強くなる。なるほど、と思う。些細な感動は我々の人生を大きく導くものであり、我々は知らないまま感動に従っているということを忘れてはならない。ゴッホ展2023年3月26日までPiazza Venezia, 5時間 月曜から金曜は9時から19時 土日は9時から21時まで(チケット売り場は一時間前に閉まる)チケット料金18ユーロ*料金にはオーデイオガイドが入っている*予約料金は1,50ユーロプラス公式サイトはこちら。www.mostrepalazzobonaparte.it個人的にはお奨め。ローマでお時間があったら是非。追伸:ゴッホの作品は実をいうとローマの美術館でも見ることができるのを思い出した。あまり知られていないが、あの、バチカン美術館にあるんだな、これが。