ヴォルテッラに(1)
昔流行ったヴァンパイヤの物語、映画「トワイライト」の中でヴァンパイヤの一族、ヴォルトウリ族の本部があったのが、このヴォルテッラの地下。だから街に入る前にとってもとっても素敵な丘陵を通っていくのだけれども、街のシンボルとして今使われているのがこの話にでてくるマンホール。旧市街の中心広場近くにはこのマンホール、トンビーノがあるので見逃せない。しかし、私がヴォルテッラに行きたかったのはトワイライトの舞台になったからでは実はなくて、古代エトルリアのとっても大きな街だったために彼らの足跡が多少なりとも見られるのでは、と思ったから。通常海から少し離れた丘に街を作っていったエトルリア人たちが、何故ここまで内陸に街を作ったのか。(実際には、古代エトルリア人といっても街ごとに異なる民族であったので、必ずしも海の近くに街があった訳ではない)ヴォルテッラには今でも郊外の地下に有名なアラバスターという石が採れるところがある。私は今までアラバスターというのは、光を通すことができる大理石の一種だと思っていた。ここに来るとアラバスターと簡単に言っても様々な種類があるということが判明。実際には、日本語では雪花石コウと呼ばれているもので、硫酸カルシウム石膏で出来た石。塩の一種とも言えるらしい。沢山の種類がある中で、特に普及している4種類が、スカリオーネ:透明感ある白が特徴で、ときどきグレー色の筋模様がある。アガタ:琥珀色だが、様々な色合いがある。バルデイリオ:色合いはグレーから茶色で、筋模様がよく入る。白大理石:光沢のある白が特徴。もともとはエトルリア人たちが骨ツボや棺などの彫刻に使っていた素材になる。私は古い教会の窓のガラスの代わりにこのアラバスターが使われていたのを見て来た。その場合にはアガタの、特徴ある琥珀色が印象的だった。今でもこのヴォルテッラの地下ではアラバスターが掘り出されいていて、街の中には沢山の工房、またショップがある。またエトルリア時代からの伝統なのか、金銀細工のお店も非常に多かった。以前の新聞記事を思い出したが、エトルリア人の街として有名なこのヴォルテッラに住む人たちのDNAを調べ、古代エトルリア人たちが言われていたように東洋から入ってきた民族ではなくて、実はアウトクトネつまり土着であったということが分かっている。ハイシーズンに入って街の中はドイツ人からフランス人が非常に多かったが、良いなと思うのは、観光客の他にも実際にまだまだ旧市街の中で暮らしているローカルな人がいて、ラビリント通りなんかを抜けて行くと洗濯物が干されていたりまた中心広場の裏にあった小さな小さな食料品屋さんに入ると地元人が朝のお買い物をしていたり。次回のブログでは私が気に入ったスポットを紹介したい。