コスマテスク様式の床模様
ローマあるいはローマ周辺の教会を回ると、こんな床模様にめぐり合うことがよくある。中世にローマの職人さんの名前からコスマと呼ばれている模様だが、実は床だけでなく、例えばキオストロなどにも使われた、もともとはビザンチンあるいはアラブからくる幾何学模様を言う。(アラブでは例えばグラナダのアルハンブラの装飾にも見るように、実際の像を作ることができないため幾何学で表現すると聞いている)コスマは、実際には大理石職人のヤコポ デイ ロレンツオの息子だったらしい。私が特に好きなのは、サンジョバンニ ラテラノ寺院のキオストロだ。使われている大変美しい色大理石は、実は皇帝の宮殿などに使われていた貴重なものがはがされて再利用ということになる話は一応書いておこう。また、皇帝たちは地中海沿岸に自分たちの素敵な石が採れる石切り場をもっていたことも。中で一番高価なものは、濃い赤色の斑岩、エジプトで採れたもので、非常に硬い石であるらしい。あまりにも硬いために彫り方がわからなくなっていた時代もあったとか。次に高価なものが、パボナゼット。紫のまだら模様のが特徴。トルコの内陸部で採れたために非常に運搬にお金がかかったそう。私は床フェチだからよく床ばかり見ているが、ローマの教会床巡りというのも楽しいかもしれない。