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ゆりんいたりあ日記

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ゆりんいたりあ

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2022.12.03
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カテゴリ:本に読まれて

霧のむこうに住みたい (河出文庫) [ 須賀 敦子 ]

今回は母が第一の目的で一時帰国をしたため、友人にも
ほとんど会わず仕舞いでもうイタリアに帰って来た。

須賀さんの本は私にとって心が安らぐ場所のひとつ。
母の所に送って貰っていた何冊かの本を大事にイタリアに
持ち帰り、大事に読んでいる。

この本はずっと前に出版されていたようだったが、未読
のようだったので今回ゆっくり読んでいる。
須賀さんの長いイタリア暮らしのお話が、詩のように
書かれていて情景を思い浮かべながら読む。

やはり時代が変わったので、例えばローマのナボナ広場の
クリスマス市なんかはもうあまりなくなりつつというのが
寂しく、でも一頃はそうだったわ、と私も懐かしく思い出し
ながら、また月日があっという間に経つのをしみじみ。

この本の中で、後書きに松山巌さんが書いているように
一番印象に残ったのが、ウンブリアのノルチャへの遠足の
ことを書いた部分だった。
丘の上に作られた小屋のバールで出会った寡黙な羊飼いたちとの
出会いの後、丘の下で待っているバスに駆け戻りながら戻る途中、
須賀さんが感じたこと。

・・細かい雨が吹き付ける峠をあとにして、私たちはもう
いちど、バスにむかって山を駆け降りた。ふりかえると、霧
の流れるむこうに石造りの小屋がぽつんと残されている。
自分が死んだとき、こんな景色のなかにひとり立っているかも
しれない。ふと、そんな気がした。そこで待っていると、
だれかが迎えに来てくれる。
(途中略)
心に残る荒れた風景のなかに、ときどき帰って住んでみるのも、
悪くない。

須賀さんの言葉の美しさが心に沁みる。





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Last updated  2022.12.03 19:13:19
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