誰でもできる簡単財務分析Vol.5
本日は、損益分岐点分析についてお話します。損益分岐点売上高とは、損益がゼロ、つまり、利益がプラスにもマイナスともならないゼロの時の売上高をいいます。専門用語を使えば、限界利益(売上高から変動費を差し引いたもの)から固定費を差し引いてゼロとなる時の売上高をいいます。このとき経常利益はゼロとなります。要するに、以下に示す図を使ったほうが分かりやすいと思いますので、どういう構造になっているのかを見てみましょう。 売上高 変動費 限界利益 固定費 経常利益つまり、売上高-変動費=限界利益。限界利益-固定費=経常利益となります。そこで、例題を出しますと、売上高1,000千円、変動費500千円、固定費300千円であるとすると、限界利益=1,000千円-500千円=500千円。経常利益=500千円-300千円=200千円となります。それでは、この際の損益分岐点売上高はどういうふうに出すかというと、1.売上高対限界利益率=50%(500/1000)となります。2.損益分岐点売上高は、先に述べましたように、限界利益=固定費でしたよね。 ですから、固定費が300千円ですので、損益分岐点売上高を算出するには、限界 利益も300千円となります。要するに、限界利益=固定費=ゼロとなるからで す。3.1.で売上高対変動比率が50%ですので、限界利益300千円を0.5(50%)で割 ると600千円が損益分岐点売上高になります。 ここで、変動費と固定費とはどういうものかについて述べますと、変動費は、操 業度に応じて、多くなったり、少なくなったりします。固定費は、操業度が高く ても、低くてもお金を支払わなければいけないもの。つまり、固定資産税や水光 熱費等ということになります。中小企業庁方式では、変動費の科目と固定費の科目を以下のように、区分しています。変動費直接材料費・買入部品費、外注費、間接材料費、その他直接経費、重油等燃料費、当期製品仕入原価、期首製品棚卸高-期末製品棚卸高、酒税固定費直接労務費、間接労務費、福利厚生費、減価償却費、賃借料、保険料、修繕費、水道光熱費、旅費・交通費、その他製造経費、販売員給料手当、通信費、支払運賃、荷造費、消耗品費、広告宣伝費、交際・接待費、その他販売費、役員給料手当、事務員・販売員給料手当、支払利息・割引料、従業員教育費、租税公課、研究開発費、その他管理費を指します。次回は、資金繰りについて述べます。お楽しみに。