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「天才」は確かに存在する。
完全に美しいフォーム、しなる腕、あるいはこうでなくてはならないという絶妙な色彩、万人をひきつける声。そして真の天才は努力を惜しまない。いや、努力することが当たり前でそれがない生活は考えられないのだ。 かくして彼は「王」となる。それは自らが、あるいは両親が望んだからというわけでなく、彼は「王」であるから、という理由のみで「王」である。 カリスマとか豪腕とかそういうものを超越した「何か」を持った才能というものに出会うと人は驚き憧れそして畏れる。ああ、彼は野球の「王」だ、と。 人々は「王」を理解できない。 「王」はただそのままで存在しているだけなのに周囲は彼が彼のままであることを許さないのだ。 そして人々の望みどおりに、「王」は贄となり神にささげられる。 舞台が野球、という親しみやすいものであるけれどこれは深く哀しい物語だと思う。伊坂幸太郎らしくない、という書評も多いようだけれど、自分は伊坂氏をあまり読んでないので、らしいからしくないかは評価不能。でもこの本は好きだ。 しばらく置いて再読したい。 あるキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.02.05 23:03:04
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