文豪の探偵小説 (山前譲・編)
この時代、「ミステリ」と言う言葉がなかったのかもしれないが「探偵」小説とくくられると違うような…「謎解き」ではあるのだけれど。「高瀬舟」は「探偵小説」じゃないよね。谷崎潤一郎、佐藤春夫のものは謎解きっぽいように思う。どれもさすが、という感じだがマイベストは三島由紀夫「復讐」。佐藤春夫「オカアサン」はせつなくていい。文豪の探偵小説「途上」谷崎潤一郎…会社員の先妻は病死だったのか?’探偵’が出てくるから’探偵小説’であることは間違いないけどなかなか文学的。「オカアサン」佐藤春夫…鸚鵡が前に飼われていた家はどんなだろうと想像。切ない。「外科室」泉鏡花…誇り高き伯爵夫人。探偵小説というよりも純愛小説ではなかろうか?「復讐」三島由紀夫…迫り来る恐怖。実際よりも想像が怖い。「報恩記」芥川龍之介…究極の恩返し。芥川らしい。「死体紹介人」川端康成…一つの家を昼間はA、夜はBが使うということからはじまった恋?「犯人」太宰治…気短な犯人であると言う以外に何を…「范の犯罪」志賀直哉…故意か事故か「高瀬舟」森鴎外…自殺幇助は罪か