大鵬親方が定年を迎えて
本日の日経新聞スポーツ欄に、大鵬親方のインタビュー記事が掲載されていた。巨人、大鵬、卵焼きと言われた往年の大横綱が久しぶりに登場し、大変懐かしく思う。私は柏戸のファンだったが、同じ時代のヒーローが相撲界から去ることになるのは寂しい。 インタビュー記事の中で特に印象に残ったのは『基本に忠実に』という言葉だ。四股、鉄砲は相撲にとっては基本中の基本で、まずは足腰(土台)をしっかり作り上げることが先で、そのあとは本人が自分で考え工夫していけばいいという話だ。また、稽古によって相撲を体で覚えることの重要さも話している。瞬間の技は頭で考えてから出すのではなく、体が自然に出してくるものだ。相撲界に限らず、現在の情報過多時代には、今一度基本というものの大切さを認識することが必要だと思う。 私も企業の中で作業マニュアルというものを色々作成してきたが、結局最後に必要なことは、マニュアルに無いことが起きたときに咄嗟に対応出来るかどうかである。本人がその仕事の意味を理解し、漫然と仕事をこなすのでなく、常に改善や問題意識を持っていることが必要である。現在は色々な物や情報が与えられすぎており、自分で苦労して考えなくてもなんとかなってしまうのは、逆に人間の生きる力を弱くしているのだと思う。大鵬親方のインタビューで『今の時代は何でもある。考えなくていい時代だよね。』『与えられたことしかしない者がいろいろ欲しがっても、それ以上は得られない。』今の日本全体を憂える含蓄のある言葉だ。最後は人間にとっての本当の幸せは何か?という問題にもつながっていると思う。