日本の政治は新しい時代のスタートに
今回の選挙は、郵政民営化を突破口に、あらゆる改革を進めて新しい日本をつくってほしいという日本国民の民意が反映されたものになった。小泉さんのアピールの上手さもあったと思うが、やはり国民は日本の構造改革を本当に望んでいるのだということを政治家の皆さんは肌で感じたと思う。しかし、この自民党圧勝というのはその反面少し怖さも感じる。東京の小選挙区で民主党が一議席(菅直人)しか取れなかったというのは、誰もが驚いたと思う。小選挙区制の恐ろしさを与野党かかわらず、みんなが実感したことだろう。比例選挙区がなければ、ほとんど自民党独裁の議会になってしまうのだ。今更、中選挙区制に戻ることは無理だろうが、これからの政界はちょっとした民意の変動があれば、選挙結果に大きく反映される構造になったと考えねばならない。逆に考えれば、それだけ政権交代の可能性が高まったと思って良いのではないだろうか。この特徴を有効に発揮していくには、いつでも政権交代できる政党、つまり責任政党であることがますます問われることになる。もう一つ大事なのは、自民党圧勝によってもたらされた負の側面をチェックしていくことが大事になる。もしも自民党が暴走しそうなときに、それをチェックし歯止めをかけるのを野党に期待するのは難しいかも知れない。そのときチェック機能を果たすのが第四の権力であるマスメディアである。テレビはワイドショー化しているので、新聞がやはりその役割を果たすことになる。これからが改革の本番である。郵政民営化にしても具体的中身について充分理解して投票した人は少ないと思う。国民レベルで議論の中身をもっと浸透させていく努力を各政党はしていってほしい。また、マスコミも国民に判断材料をキチンと明示していく義務があると思う。民主党も新世代である前原議員が党代表に選任されたが、イメージ一新して本当に身を粉にして頑張ってほしい。自民党との対抗軸をどこにおくか。憲法改定も活発に議論して良いが、自民党との対抗軸にはならないだろう。イデオロギー論争は日本の構造改革を遅らせるだけだ。安全保障については、資源の問題から環境、エネルギー政策、人口問題などあらゆる角度から総合的戦略の基に進めてほしい。日本国民のことを考えれば与野党で大きな違いにはならないはずだ。民間企業の構造改革はだいぶ進んだと思うが、いよいよ政界含めた国家の権力構造改革のスタート台に立った。まだまだ大きな波が来るだろうが、後戻りすることなく少子高齢化のお手本となるような国家の姿が早く見えてくることを期待する。