OECD世界学力調査結果について
15歳(高校1年生)を対象にしたOECDによる学力調査(PISA)の結果が公表された。参加国数は57ヶ国で、日本では6000人が参加したそうだ。 新聞各紙で報道されたのでご存知の方が多いと思うが、日本の順位が落ちたことで学力低下傾向に歯止めがかかっていないとの大方の認識となったようだ。 今回の対象学年は、指導要領が大幅にかわるということで、私立中学受験に走った人たちだ。特に母親が動揺して、涙を流しながら中学受験をしたのだ。ある都内の公立中学校では、クラスが半分に減ったところもあったそうで大変びっくりした。文部科学省は小手先の観念だけで制度政策をこねくり回すのをやめてほしい。 OECDの試験は応用力を見る問題だそうだが、結局ゆとり教育の成果はあまりなかったということになるのかも知れない。読解力は前回14位で今回は15位と元々よくないが、数学については6位から10位、科学については2位から6位と大幅に順位を下げた。 理工系離れが進んでいることは以前から指摘されているが、今回もその現象が明らかになった。この問題については10年ほど前に大学の理工系学部に入ってくる生徒たちの物理基礎学力ががた落ちしていることが問題とされ、日本物理学会でも危機感を持ち、理科教育の改善に立ち上がった。現在も継続して活動しているが、それよりももっと大きなうねりに押し流されてしまっているという感じがして残念だ。 この数年は特に経済市場原理が叫ばれ、ますます功利主義に日本は覆われてしまった。物事をじっくり観察したり思考したりする姿勢は軽視され、結果を早く求める風潮が強くなった。今回の試験結果は、子供達の問題ではなく、日本国民全体の生き方を問われていると思う。 フィンランドが過去3回とも好成績を残している。何回かマスコミでもフィンランドの教育について紹介されているが、日本としても大いに参考として地道な取り組みをしてほしい。