日本の匠技術が地方産業を活性化
先日、NKHテレビの『クローズアップ現代』で山形県の中小企業がスポーツカーを海外自動車ショーに出品して注目を集めた、という話を紹介していた。 海外で活躍していた日本人デザイナーが地元で匠の技術をもった中小企業と一緒にユニークなスオーツカーを作り上げる様を紹介したもので、解説者も感動したというくらい我々に勇気を与えてくれた。 私の半導体業界もそうだが、大量生産で安く供給するという大企業の呪縛から逃れられず四苦八苦しているうちに、日本の地方が、大企業のおこぼれをもらうのでなく、下請けから脱して、自らの技術を世界に発信するのは大変すばらしい。 価格の安さで勝負するのでなく、他社より優れた特徴を最大限に生かしたユニークな製品をつくっていくことが、日本の技術をさらに磨き上げ、そこで働く人たちの生きがいにもつながっていく。 工業だけでなく、瀬戸物や織物、染色技術など日本の地場産業には伝統に裏打ちされたすばらしい技術がたくさんあると思う。 これからは知の勝負だとも言われている。 人がますます大事になっていく。とりわけ少子化が進んでいく日本では、人を育てることが国家戦略としても非常に大事になっていく。最近は、農業では穀物の高騰により国内産が見直されているが、さあ今から減反をやめてまた農業生産をしようとしても、若い人たちが農業から離れていなくなってしまった現状ではそう簡単にはいかない。人がいなくなったらそれをもとに戻すには何年もかかるのだ。それは企業でも同じで、今は景気が悪いからといって新規採用をしないでいると、いざというときにはもう手遅れだ。 日本の産業は、これからも変化の波に襲われると思うが、それぞれの立場で、後継者を育てる重要性を認識していくことが必要だ。 都内の教育現場では、30代の中核になる先生が足りなくて大変困っているという話もあるようだ。教育界こそ、文部科学省が長期的視野で人の採用をバックアップしなければいけないと思うが、いったい何をしていたのだろうか?教える先生が不足していたり、不祥事ばかり続くようでは、教科書検定だとかゆとり教育だとかの以前の話だ。 ここでも、現場から遊離した観念的論理が日本の進歩を阻んでいる。壮大なる時間の浪費のように思える。良い会社とは何だろうか? 人気がある会社が良い会社だろうか? ほしい人材が集まる会社は、良い経営、良い仕事をしているということだ。 まともな学生は、まわりの情勢に浮かれることなく、ちゃんと見ていると思う。 自分の一生のことだもの。