その辺りが釈然としない。もともと建設国債には60年償還ルールがあり、これを根拠に、全国津々浦々にある小中学校も建物の減価償却は60年とされている。こうした国債の枠組を崩し始めたのがオリンピック不況下で発行された赤字国債とその後の増発である。
イギリスでさえ第一次世界大戦時に発行したコンソル国債の利払いを延々と続けている。つまり国家破綻しない限り利息は払う。この発想で国債管理を考え直す時期に来ている。バブル崩壊後もコツコツと利払いを続ける不動産屋の姿と日本の姿とを重ねても、いい。
なにも将来のツケをいきなり現役世代や年金で細々と暮らす世帯に押し付けなくても済む問題なのに。湯浅誠が岩波の「世界」で消費税率の引上げを肯定する姿は確実に日本の社会が弾力性を失い、言論空間までもが完全に硬直化してしまった厳しい現実を示す。