ザコＦ２の隠れ部屋

こないだ漢文の古典を紹介したので
今回は日本の古典を取り上げてみましょう。
和歌集の「建礼門院右京大夫集」です。
相変わらずマイナーなものでスイマセン。



日本の古典は日本語で書かれているので、がんばれば読め無いことはありません。
私の経験からすると、手っ取り早く古典に慣れるのには
和歌がいちばんイイと思います。
どこで区切ってどう読むのか分からない単語も
５・７・５・７・７で区切ってみればアラ不思議。
なんとか読めて、単語を調べれば何となく意味が分かってきますよ。

でも和歌は詠んだ言葉の響きとか語感を味わって
意味とかは深く考えないほうが楽しめるような気がします。


で、本題。
この和歌集は源平合戦後の時代に成るものですが、
和歌が詠まれたのはまさに源平合戦の真っただ中。
その中での悲喜こもごもの様々な歌が詠まれています。

前半の平家の公達である恋人との逢瀬などの明るい歌と、
後半の恋人を合戦で失った悲しみの歌のコントラストが実に繊細で美しく、
私はちょっと読んでて涙ぐんでしまいました。
そこら辺が好きな理由。
歌の前の詞書（ことばがき）もその場の状況を詳しく描いていて、
雰囲気が良く伝わり、その時代に入り込んだような気がしたりします。

気に入っている歌を何編か適当に抜き書き。

おもかげを　心にこめてながむれば　しのびがたくも　すめる月かな
恋ひわぶる　心をやみにくらませて　秋のみやまに　月はすむらん
雲のうへを　よそになりにしうき身には　ふきかふ風の　音もきこえず
谷川は　木の葉とぢまぜこほれども　したにはたえぬ　水の音かな

詞書がないとちょっと分かりづらいかな。


作者は悲劇の中宮・建礼門院に仕えた人。
だから建礼門院右京大夫。
恋人は平資盛。
ええと、平清盛の息子重盛の次男のようです。
スイマセン、不勉強で。

日本の古典て、世界に先駆けて女性作家の作品が多く残っていることは
素晴らしいことですよね。
あと和泉式部集なんかも好きです。

これは古本屋で見かけて手にしたので、
今は普通に売ってるかどうかはちょっと分かりません。
岩波文庫です。
まってれば重版がかかるかもしれんですが、
「金槐和歌集」「日本外史」なんかいくら待っても出ないので難しいのかなあ。