ザコＦ２の隠れ部屋

三国志の本を読んだあと、
世界史関連の本を２冊ぶっ続けで読みました。
固有名詞や年号やらで頭がウニになって来たので、
ぐぬううう！三島師匠の文体に浸かりたい！
しかも評論文が読みてえっ！てな気分になったので、
手近にあった「アポロの杯」を引っ張り出しました。

なんだかまあ、禁断症状にも近かったので、
ざっと一気に、ニューヨークの項あたりまで読んじゃったら
落ち着いたんすけど、面白いっす。

この「アポロの杯（さかずき）」は
三島師匠が船（！）で世界旅行をした時の紀行文です。
これ、初読の時はあんまりピンとこなくて、
１回こっきりしか読んでなかったんですよね。
（つか、評論じゃねえよ）
あちこち色々な本を巡った後に戻って来て読み返したら、
面白いのなんの。

石川淳先生のちくま文庫「雨月物語」の解説でもある、
「雨月物語について」と
「オスカア・ワイルド論」もさくっと読みました。
睡眠時間を削っちゃったんで眠い眠い、眠いザコ。

師匠の文って、必ず、『殺し文句』みたいなのがあって、
それを読んだだけで「ひえ～～」とひれ伏すしかないんですが、
航海日記のしょっぱなからありやがります。

　こうした具体的な生活の営まれる場面のさらに彼方から、
　航海のあいだ、自然はなお、鉄壁をとおして
　船客たちの抽象的な生活に影を投じて来る。
　それが船酔いなのである。
　単なる船酔いを、思考と勘違いしている知識人が
　いかに多いことであろう。

すげ。
ばっさり切り捨て過ぎる。

あと、
桑港（サンフランシスコ）の条では
読んでるこっちも顔をしかめそうなくらい
不味いみそ汁の話があったり。
そこから日本と、人工国家であるアメリカとの
話につながっていくんですよ。
そんな読ませ方が上手いなと。
流石だなって思います。

こういう切り取り方って
本当にセンスがないと出来ない技でして、
いやはや、シャッポを脱ぐしかないな、と。
ネットスラング（？）の乱用ばかりだったり
中学生のポエムレベルでしかない
私のブログを振り返ってみたときに、
あまりにもアホさ加減に汗しか出てこないという。
いや、比べてもしょーもないんですけどね。

そういえば
ワイルドは「サロメ」と「ドリアングレイ」を読んだっきりだなあ。
「雨月物語」も読み返したいなあ。


ところで、
師匠の小説でちと、やろうとしていることがあるのだけれど、
すっかり忘れてました。
時間を少し作ってやってみるか。