ザコＦ２の隠れ部屋

愛し合っている二人が婚約してメデタシメデタシ、
ではなくて、
婚約してからあとのお話なのが面白い「永すぎた春」です。

画像は新潮文庫版がなかったので古本屋で手に入れたもので。
これはちゃんと「真かな・真漢字」で印刷されてるんです。
（旧かな・旧漢字じゃないぞー）

主人公は法学部の学生郁雄と、古本屋の娘百子。
婚約して、来春には結婚する幸せな二人に色々な危機が訪れる、
というもの。
こう書いては身もふたもないですが、まさしくそれなのです。
これがこの作品のきも。

キャラがしっかりとしているので、
色んなアクシデントが起こっちゃうのがイイ。
郁雄のお母さん、宝部夫人は
けっこう三島キャラにありがちな造型ですが、
話をころがす役でなかなか面白いです。

三島作品って、恋愛してるカップルは大体
男の子はいつも純朴で、
女の子があのころの時代の進んだ感性を持っている、
というのが多いです。
これもそんな感じ。


ところでこの話、
ずっとラストだけすごく納得いかなかったのですけど、
今回読み返して、これは三島流の毒なのだな、と思いました。
そんなにあっさりメデタシメデタシにはしねーよ、
と笑う師匠がなんか目に浮かんだ。
この後味の悪さ？が、
この作品を一癖も二癖もあるものにしているのかも。