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カテゴリ:うちのごはん
冬の幸せはなんといってもスープである。
我が家の定番スープは、 根菜たっぷりの粕汁、ミネストローネ、 テールを三時間煮込んだコムタンクッパ、 練りごまをたっぷり入れた味噌汁、 北海道風おでん…透き通った汁を一緒に飲むタイプ。 そして、生姜、長ねぎ、ニンニクを煮出した特製風邪スープ。 一口飲んだら汗が吹き出る。 味噌汁でもシチューでもミネストローネでも、 どんなスープのベースにもなって万能だ。 夏はフォーやサンラータンにも使う。 汗がいっぱい出てスッキリ、我が家のお薬だ。 公園から帰って、冷え冷えになった身体に、 あったかいスープのある幸せ~。 午後は陽の当たるあたたかい部屋で、 ごろごろ昼寝したり、読書したり、 台所ではルクルーゼがコトコト…、 夕飯のスープを炊く音が聞こえる幸せ~。 それでも、今年は暖冬で、その幸せもちょっと半減。 なんだか身体もシャキッとしない。 冬の寒さを感じてないと、猛暑の夏を乗り切れない気がするので、 なんだか今年の夏は恐いな。気をつけなくちゃ。 ねぇ、ゴアさん。 先週の土曜日は辰巳芳子さんの番組を観た。 『いのちのスープ』 旬の食材の滋養にあふれたスープ。 病気で食が細くなり、食べられないことで いのちの向こう側にいってしまいそうな家族に、 一口でも食べさせたい…という思い。 愛情そのものともいえるスープだ。 末期ガン患者のご主人が、 スープを一口飲んでくれた時の喜びを、 涙をにじませながら静かに語っていた。 愛というものを見た気がして、こみあげた。 著作本には、こういうくだりがあって、ふいに涙がこぼれた。 『学期末試験時に、 朝の食事をするのももどかしがる子どもが、 ふくさ味噌に揚げ餅の入った味噌汁一椀を、 ふり葱の薬味につられてかき込む姿を見て、 「お餅が二切れ(お腹に)入ったから、 どうやら昼までは大丈夫だろう」と思う親心、 毎朝の心してつくる味噌汁の味こそ、 おろそかにしてはならないと思います』 親の愛というのはこういうものか。 毎朝の湯気のたったごはんと味噌汁。 言葉でもなく、物でもなく、食べさせて見守る姿勢。 しっかり、見守っているからこそ、食べさせることができる。 こういった親の姿勢が、子供の育ちを支えるのではないか? 毎朝の湯気のたつ味噌汁。 まずはここからなのだ。 これこそが子育ての神髄なのではないだろうか? いろんな教育法や考え方があるけれど、 まずはここからなのではないだろうか? どんなふうに育てても、 少々間違っていても、 親に欠点が多かろうが、 心を尽くした朝の味噌汁があれば、 その子をを思う親の心、誰にもかわりができない心は、 かならず、子供の心に届くに違いない。 まずは、親が自分の人生を誠実に生き、 そして子の人生も祝福し、尊重し、 巣立ちまでの短い年月の間は、 毎朝の味噌汁で、子が自分で育つのをサポートする。 そういうスタンスはどうだろうか? …余談だけど、夫にも届くんじゃないの~?(^∀^;) 私の大好きな映画『青いパパイヤの香り』は そういう映画だったような気がする。 言葉はないけど、心づくしの手料理で、 王子様の心を射止めたシンデレラのお話だったような。 子育てで、夫ケアがおざなりになりがちなここ数年。 「残業で遅くなります」メールに、 「今日は粕汁、いちご大福も作ったよ」 今日の献立を返信してやるのが、精いっぱいだ。 番組では、辰巳さんご本人の小さい頃の思い出も語られた。 お母様がお弁当に入れて下さった かつお節ごはんを卵で巻寿司風に巻いたもの。 「ごはんがお醤油を吸ってしまうので好きじゃない」…を告げると、 かつお節を醤油で炒りつけてから巻く方法にかえてくれた。 「すぐに改善してくれた。とてもうれしかった。 こういうことで、子どもは親を信頼するんですよ。 これは絶対の信頼ですよ」と、力をこめておっしゃる。 一緒に見ていた娘は、すぐに台所に飛んで行って、 巻きすを持ってきた。 くるくるやっているが、うまくできない。 色紙や毛糸の切ったものをくるくる巻いて、 のり巻きのようにしてやると、ものすごく喜んだ。 えへへ。ちょっとは信頼してくれた? 言葉のひとつひとつにとても重みのある人で、 さりげない文章がとても深い。 だしをひくことの大切さを書いた文では 『何事を為すにも、為し遂げるためには、 いくらか自分を励まさなければなりません。 仕事は手につけば、面倒であったものが 面倒でなくなる日がいつかくるものです』 と、書いた上で、 『あるいは人により、 一生面倒を感じるかもしれません。 それはそれでよいと思います。 そういう自分を受け入れて、 為すべきことをいたしましょう。 それは楽々なさる方より、 もっと尊いことだと思います』 手しおにかけた私の料理より なんだかハートを射ぬかれてしまった。 辰巳さんLOVE。 料理本以外の著作も読みたい。 料理研究家にはタダモノじゃない人が多い。 『料理に心をこめる』ということが、 今頃になって、わかりかけてきた気がする。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
February 9, 2007 01:34:02 PM
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