テーマ:サッカーあれこれ(20135)
カテゴリ:日本代表
アジアカップ 準決勝。
日本は既に周知の通り、サウジアラビアに3-2で敗れ、3連覇はならず。
右サイドを圧倒的なスピードとシンプルなパスで右SBを活かしたタイセル。 168cmぐらいで中澤に競り勝つ身体能力の高さ、ポジショニングと体の使い方が素晴らしかったマレク。特にそのゴールはアジア最高のFWという評価さえ与えていいドリブル突破を見せた。 ヤセル・アルカフタニもスピードと緩急をつけたドリブルで果敢に勝負を見せた。 後半から入ってきたシュート技術とパスは荒いもののアフメド・アルムーサのスピードとドリブルの突破力は圧巻だった。 ここ数年、ギリギリの戦いで国際大会に出場を続けていたサウジアラビアがとうとう復活したという瞬間を見た気がする。 というか、監督がはまればそれなりのサッカーを見せるという事なのだろう。例えば、戦術面でも俊輔が激しいプレスに弱いことをしっかりとリサーチした上で常に寄せる。エース高原の切り返しにも十分な注意の下、ボランチとCBで挟み込み仕事をさせず、川口がハイボールの処理にいまだ不安がある事をわかっているのであろうスローな高いボールで川口が飛び出させるプレーで守備陣に不安感を植えつける。それが慎重さにつながり、リズムに乗り切れなくなった要因でもあっただろう。 日本に足りないものは、解説のセルジオ、松木にも盛んに言われていたミドルとかシュートの意識といった部分もあるだろう。だが、それよりもドリブルに優れた選手がいないというのが致命的だ。 ブラジルならロナウジーニョにロビーニョにカカ、アルゼンチンならメッシにテベスにアイマール、フランスならリベリー、ポルトガルならクリスチアーノ・ロナウド、イタリアならトッティ、イングランドならルーニー。全ての強豪国にドリブルで局面を打開できる選手がいる。この日のサウジにも4人もいた。では、日本にはいないのか!? 水野晃樹がいるではないか!! 何故、オシムは愛すべきチルドレンを大事な場面で起用しなかったのだろう。彼の切り刻めるドリブルこそ後半追いかけなければならない時点で重要だった。 身長がそれ程高くなく、ヘディングに一級品の評価を与えられそうな選手ではない矢野と寿人と高原をただ並べるだけで、パワープレーというのは、オシムに求めたサッカーなどではない。それも予想できないサッカーのドラマの中では稀に見かけるシーンの一つかも知れないが、ただ余りにも凡庸にしか見えない。 勿論、パワープレーと一口に言っても単純にとにかくロングボールを放り込むだけではない。やり方というものがあるだろう。よりゴールの確率を高くする方法である。その時に俺は水野が必要だと思う。同じクロスでも、サイドをえぐるクロスとアーリークロスの違いは何か。アーリーは手数をかけず早くあげる事でDFの対応よりも早くFWに預ける事が出来るし、DFの裏も狙いやすいというメリットがあるが、初めからDFがひいて待っている所にあげると相手DFはボールとFWの両方を同時の視野で確保でき、対応し易いデメリットがある。今日の日本はロングフィードかアーリーだけで相手DFがクリアするのはそれ程難しい仕事ではなかったと俺は思ってしまう。一方、サイドをえぐったクロスは高くても低くても相手DFはサイドにあるボールの位置を当然確認するためにサイドを向く。こうなると、自分がマークしているFWが視野からずれ見逃してしまう、また自分の横から入ってくる相手選手への対応も当然に遅れる。手数はかかるし、DFも寄せやすいサイドの深い位置まで侵入する事は難しい事だが、えぐる事のメリットはそれ相応に存在する。だからこそ、サイドを深くえぐるというプレーが出来る選手は重要であると考える。これが出来るのが前述した水野であった。太田も同様のプレーヤーだが、彼の場合はよりスピードが武器の選手であって、スペースがない場面での起用は難しいというオシムの判断だったかも知れない。 ちなみに、今回の失点。2失点目の右からのクロスは完全にサイドをえぐられてあげられている。中澤と阿部は2枚ともゴール前にいながらも相手FWを捉えきれなかった。これが俺の言っている事である。サイドをえぐられた時点で既にCBは非常に難しい状況に立たされているという事だ。サウジが出来て日本が出来なかったというのは哀しい事だが、今回のスタメンにドリブルを得意とする選手はいなかったのがそもそもの日本の攻撃の選択肢を減らす人選だったという事も言える。勿論、ドリブル突破に魅力のある家長がタイミング悪く負傷したとか、パワープレーに適したトゥーリオを呼べなかった事は誤算だとは思うが、それでも矢野よりイノハよりも呼ぶべき選手はいた。 残念だ。 ~論評~ GK川口 5.5 苦手なハイボールを再三放り込まれリズム崩す。最後はオーバーラップを見せるも、力及ばず。 CB中澤 6.0 素晴らしいボンバーヘッドで攻守にフル稼働!!同点弾は圧巻の飛込みだった。とはいえ、肝心の守備では、相手のDFを追い切れず、またドリブルへの対応は相手を褒めるしかないか・・・ CB阿部 6.0 こちらも意地のバイシクルシュートでゴール。彼のような選手をCBにおいている理由はビルドアップの正確さ、またロングフィードでの局面打開でもある。それが余り発揮されなかった。最後のパワープレーでは精度と戦術眼に欠いた駒野に預けるよりも彼があげるべきだった。 RB加地 5.0 1失点目は完全に競り負けた。対面の選手の対応は良かったが、攻撃での貢献は余り無く。 LB駒野 4.0 サイドチェンジや縦でも横でもパスミス多し。クロスも放り込むだけで精度という文字を見付けられない。 DH啓太 5.0 トラップミスにパスミス。周りがパサーばかりなのに、彼がスルーパスを出している事が残念。ただ、これは彼のパスの出しどころが無い事も問題であって彼だけのせいではないのだが。にしても、動きに疲れが見えた。このポジションの選手には酷かもしれないが、数試合やってもプレーが落ちないようにして欲しいし、それが彼の目指すべき所だろう。やはり、今野の方が上に思わせられた試合だった。 DH憲剛 5.0 仕掛けのパスが通らない。くさびを当てての動き出しは良いものの、守備での詰めの甘さが良くない。また、ワンツーを狙う距離が長すぎて、ワンツーを狙う度に相手にカットされ、相手チャンスを作り出す悪循環でチームのリズムを狂わせた。 OH遠藤 6.0 CKからアシスト。動かない動かないと言われながら、アジアカップではどんどん動けるような感じ。この試合も裏への飛び出しでチャンスを作った。彼の貢献は大きいが、俊輔と併用するならやはり彼はボランチで使うべき選手に思う。 OH俊輔 5.5 ファンタジスタ返上><奇跡は起こせず。ミドルも一本。いい形、いい形にこだわりすぎて、チャンスを作れず。もっと単純にミドルを打てるシーンを作るような連携を構築すべき。相手にも果敢にスライディングやタックルでボールを奪いに行く姿は成長が見られるが、それでも局面でのエリア内への単独突破を見たかったし、それで得たFKでもチャンスがある事を彼にはより考えてもらいたい。 FT高原 5.5 自分で自分での意識が裏目に。勿論、それが彼で、そのプレーこそが今大会の日本の推進力になっているのだから否定はしない。だからこそ、マーク2枚に付かれている時は、さすがにシンプルさも持って欲しかった。阿部のゴールを導いた折り返したポストプレーはさすがだけど。 FTまき 6.0 裏への動き出しでチャンスメイク。相手DFにも負けてなかったが、判断が遅い。彼みたいにボールをもてない選手はすぐにはたく事を徹底すべきだし、その為に常に視野を広く、また連携面でももっと取り組まなくてはいけないだろう。 FT寿人 5.0 期待されたが何も出来ず。彼が活きる為にはベッカムが必要だろう。彼はワンタッチで決めるのが得意。ただ、彼がいるポジションこそがゴールを決められるのであって、彼がクロスに合わせようとすると、それはDFがいるから彼の背丈では勝つ可能性は低いに決まってる。存在感を全く示せず終わった今大会は残念な出来。 LH羽生 5.5 ミドルを放ち存在感を示したがかき回すだけかき回せたかは微妙。全盛期のモリシも同様のタイプだが彼にはよりドリブル突破があった。スペースで受けるだけの寿人と羽生を揃えただけでは余り展開が変わらないのも無理は無い。 FT矢野 5.5 代表に相応しいかどうかという思いすら抱いてしまうほど、いたかどうか。10分ぐらいで、しかもロングボールを待つだけではそれも致し方無いのだけど・・・ 監督オシム 5.0 サウジは相当素晴らしいチームだったと思う。何故なら日本の守備がそれほどまで悪かったとは思わなかったから。ただ、彼らのワールドクラスと単純に言っていいかはわからない突破力にやられただけで。だが、であれば点を取るしかない。その意味で前目をどんどんと投入したが、戦況は変えられず。パワープレーに徹するなら、左に俊輔、右に水野を置いてアーリーをあげさせるべきでは。それを加地や啓太や駒野があげたとしても意味が無い。交代一つで戦況を変えられたと思うのは確かだが、それはこの結果を受けての考えであり、彼が投入した矢野が泥臭くても1点取っていれば彼は勝者にも成り得た。だから、オシムに退任して欲しいという考えではない。ただ、この反省点を今後にどう活かすのか。それを楽しみにしたい。 ここまで読んで頂き感謝です。面白かったとか好印象であれば、ここをクリックしてランキングUPにご協力下さいませ~♪ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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