等々力善福の雑文書いてます

　ＮＩＫＫＥＩ　ＮＥＴを眺めていたら、「新人口推計、出生率１．２前後に低下・長期
見通し大幅修正」という記事が出ていました。２００２年の厚生労働省の推計では、
出生率が１．３９程度に高まると予想していたのに、大幅な下方修正となったという。

　女性が生涯に産む子どもの平均値である出生率。これが、３とか４以上で
あれば、各年代別の人口分布は文字通りピラミッド形になるし、２人前後なら、
おおよそ現状維持ということで、ローソクみたいな形、日本の現状のように１人
程度だと、見るからに不安定そうな頭でっかちな形の分布になります。
　出生率の低下は、先進国の間で共通の問題であるので、「先進国病」とも
呼ばれるのですが、「病気」に分類されるのは全く正しいのです。これがずっと
続けば、国家の調子が悪くなるのは明らかだからです。それにしても出生率１．２
というのは、先進国の中でもトップに躍り出たのではないだろうか（ＧＮＰとか
ＧＤＰと違って、こんなことでトップクラスになっても、全然嬉しくはないが）？
　茶目っ気のある人は、このままいくと２XXX年に日本人はいなくなるなどと
試算するそうですが、そういった見方にも冗談でない部分があって少し怖い
ですよね。

　記事は、「晩婚、晩産、離婚の増加など、出生率の下押し要因は多く、先行きを
にらんだ新たな議論を呼びそうだ」としています。確かにその通りなのだろうけど、
晩婚、晩産、離婚の増加などは出生率低下の「原因」であると同時に、他の社会
状況、社会不安の「結果」であるとも考えられるので、政府が継続して行ってきた
「対症療法的」な政策が直ぐに効果に結びつくわけではないようです。
　今回の出生率の下方修正を、私はそういったコンテキストで捉えています。

　テレビなどのインタビューで、日本の政治家が「女の人が子どもを産んでくれない
んですよ」みたいな発言をするのを、何度か目にしたことがあります。本気で考える
気があるのなら、問題の原因の洗い出しからやり直して、その根がどのくらい深い
のか直視する必要があると思います。

Ｐ．Ｓ．　「出生率の下押し要因」って、株価チャートの分析用語みたいですよね。
　　　　　もう少し深刻な問題なんですけど、、、