アルプ・シュニットガー♪Membra Jesu Nostri
さてさて、カウントダウンもいよいよ一桁、
あと9日となりました。
今日は改めてのオルガンの話。
北ドイツのパイプオルガンビルダー
アルプ・シュニットガー。
彼のオルガンは、鍵盤ごとに
違うオルガンが鳴る、という特徴があります。
オルガンは、エレクトーンをご存知の方は
二段鍵盤と、足鍵盤が思い浮かぶかと思います。
エレクトーンは、オルガンを真似して作られたもので
実際の大オルガンは二段鍵盤だけでなく、
三段鍵盤、四段鍵盤のものもありまして、
もちろん足鍵盤もあります。
ブクステフーデも愛したこのオルガンは
彼の作曲にも、多大な影響を与えました。
ブクステフーデは、生涯ほとんどを
リューベックで過ごしたと言われていますが
少し離れた街、ハンブルクで
シュニットガーの新しいオルガンが建造され
試奏に行ったという記録があります。
そして、ブクステフーデは
シュニットガーにリューベックのオルガン改修の
見積もりを依頼しています。
では、シュニットガーのオルガンとは。
そもそも大オルガン自体、巨大なので
色々なストップ(音色)により
パイプの場所が違うために
いろんな方向から音が聞こえますが
シュニットガーはさらに
いろんな位置にオルガン(パイプ)を設置しました。
演奏者のコンソールの鍵盤の段により
鳴るオルガン(パイプ)の位置が異なる設計をしたのです。
たとえば、真ん中(Hauptwerk)
上(Overwerk)
下(Hauptwerk)
後ろ(Rueckpositiv)
にオルガン(パイプ)を配置し、
それを、弾く鍵盤の段によって割り振ることで
臨場感を出したのです。
今で言えばサラウンド4.1chとか、5.1chのような?
それが、ブクステフーデの作曲に多大な影響を
与えています。
残念ながら、AOIのオルガンはこの
シュニットガーの作りとは全く異なり
もちろん現代の、フランス系のオルガンです。
シュニットガーのようなサラウンド効果はありませんが
三段の手鍵盤と、足鍵盤を備えています。
以下、再度AOIホームページからの引用です。
静岡音楽館AOIのオルガンは、フランス・ストラスブールのアルフレッド・ケルン社によって建造されたオルガンです。41ストップ、パイプ総本数2,868本で、手鍵盤3段と足鍵盤を備えています。オルガンケースにはオーク材、木製パイプは松、金属パイプには錫と亜鉛の合金が使われています。高さ8.5m、幅9.5mのオルガンは、天井高18mの空間のなかで堂々とした偉容を誇っています。オルガン音楽の中でも中心的な役割を占めるバロック時代の作品に対応するだけでなく、ロマン派などの多彩な音楽にも対応できるよう、カプラー機能、コンビネーション機能、スウェル・ボックスが採用されています。クラシック音楽を中心に演奏されるホールとして建設された静岡音楽館AOIにとって、このオルガンの存在は、音楽の世界をさらに広げてくれることでしょう。