ある床屋さん物語...
髪の毛切りたい気持ちテンコモリ中です僕は天パー気味で髪の毛も太くて硬いので伸びてくるとかなりウザったくなります床屋や美容院などに行くと必ずといっていい程「僕の切った人の中で一番髪の毛が多いです」とか「髪の毛すごく硬いですね ペンチで切ってもいいですか?」などと、どこのお店に行っても一度はそんな風な言われ方をされてしまうそんな可哀想な髪の毛ですなのであまり固定のお店には行かず時間があれば目についた所に入って切ってもらうそんな色々な理容室&美容室の中で一番印象的だったお店と言えば やはりあの店かもしれない...そのお店はうちのマンションから歩いて10分くらいの場所にありその時オープンして間も無いらしい店主が1人きりの小さな床屋だった店主と一言二言髪型について打ち合わせをして店主は前掛けを僕にかけて、てるてる坊主のようにして奥に一度引っ込んだそして少しして奥から出てくるのを僕は鏡越しに見るとはなしに見てると店主は奥から出てくるといきなりツルハシを握る前の土方のオヤジのように「ペッ ペッ」っと両手にツバを吹き掛けてパンパンと柏手を打つと「よしっ!!!」と自分に気合いを入れていた(まままっままままっまままままま、待ってよ....もしかして...その手で僕の頭を触ろうとしてる??)かなり僕は焦ったが まさかそのまま触るとは思わないじゃないですか...店主は蒸し器の中から蒸しタオルを取り出しながら熱さを調整するふりしてるのか手を拭いてるのかわからない微妙な動作でその蒸しタオルを僕の頭に乗せ髪の毛に擦り付けた....普通なら「てめー客の頭をツバつけた手で触るんかい!!ふざけんなよ!!」っと騒ぎ立てるのだろうが(ままっ どうせ頭をシャンプーするから まっいっか)っと気の弱い僕は自分を納得させた...そうこうするうちに髪の毛を切りはじめてなんだかんだ話をしていた「ここって最近オープンしたんですよね?」「はい、2週間前にオープンしたんですよ 御贔屓におねがいしますね」「あっ はい.... その前は他の理容室で働いてたんですか?」「あっ いえ... その前はトラックの運転手だったんですよ ハハハ」(えっ?.....運転手って あんた.........汗)「いえね 運転手っていろいろと不規則な生活じゃないですか?だから家でできる仕事ないかと思って床屋はじめたんですよ ハハハ」(ハハハって あんた....あんたの不規則な生活脱出のせいで僕の頭は不規則に刈られるんかい...)いやしかしどこかできっと修行は積んでるさ そうさ そうさ そうじゃないと普通の一般的な常識的に考えて経験も無しに店を構えるなんざ無理に決まってるもんね...そうさそうさ きっとそうさ....ちょきちょきちょきちょきちょきちょき.....店主は何かに憑かれたように熱心にハサミを休ませず切り続ける....僕はヒヤヒヤしながら鏡越しに店主のハサミを持つ手を目で追う... ちょきちょきちょきちょきちょきちょき.....相変わらず店主は髪の毛を切る事に没頭している...そして店主は後ろ頭の方に手を進めたちょきちょきちょきちょきちょきちょき.....「あっ......」店主は声にならない声で小さくつぶやいた僕はその途端にドッと変な汗が背筋を伝わって流れるのを感じた...店主はすでに客の俺を置き去りにして自分のカットの世界にイッちゃってるらしく「あっ」っと自分で呟いたのもわからないらしいなぜなら その後に「まっいいか...髪の毛はそのうち伸びるんだし....」「えーーーーーーーーーーーっ?」(絶句)だんな...十分聞こえてますが...いくら小さな声で呟いてもあんたの口元は僕の耳元にありますから...聞きたく無くても十分聞こえます......あれからもう4年くらい経つ....髪の毛は確かに伸びて その頃の事実を知る髪の毛はすでに頭の上には存在してません...いまもそのお店は健在で店の前を通るたびに中を覗いているがお客さんの姿は見た事ありません....そんな素敵なおもひ出を思い出したスーパーサイヤ人な寝癖頭の今日この頃....