「一緒に帰ろう」
この一言を言うために、どれだけ悩み、結果は傷ついたことか。それは今を去ること50年、高校三年生の放課後の話。クラブは美術部だったので、男は3人しかおらず、気楽なもんやった。部長は女子生徒で、会計と書記も女生徒。たまに開催されるデッサン大会も女生徒が中心で、華やかで良かった。 高校三年生のクラブ活動としては、おとなしくて問題も起こさず、良かったんでないかい。問題は、拙者には彼女がいたのに、別の女の子を射止めようとしてたこと。その子には彼氏がおらず、電車で通学してたのは拙者も同じだが、電車の方向は逆だった。 さて、それで駅までの1km程度の道のりを「一緒に帰ろう」と誘ったのだが、色良い返事はもらえなかった。それでも構わず、放課後の隣の教室に迎えに行ったら、帰る寸前。あちゃー。嫌われてるのかと心配になってきた。構わず強引に連れ出したんやけど、これ以降は書くことが憚られる。