自分で値決めが出来ない業界
こんな商売をしている業界が、まだあるんです。物価統制令!が唯一適用される業界。銭湯です。最近多くなったスーパー銭湯とは違う。いわゆる公衆浴場。毎年今頃、各都道府県の役所で開かれる審議会の答申に基づいて、上限価格を決める。もちろんこれを上限に、各店は自由に値決めして良いはずなのだが、そんなところは見たことない。上限価格をそのまま適用。ちなみに東京都は今回460円にする予定(据え置きは違っていた模様)。増税分は上げていないので、実質ほんの少し値下げ。東京が、価格のオピニオンリーダーになっているようなので、業界の総意としてこれ以上上げると、客離れすると思っているのかな。ちょっと違うと思うけど。しかし不思議なもので、この審議会のメンバー、日常的に銭湯を利用している人はほとんどいないらしい。日頃銭湯を利用しない人が、銭湯の上限価格を決める。何とも不思議な業界。結局、努力してもしなくても同じ、と言う構造が、衰退を招いてきたと思う。今時、風呂なしの家はほとんどない。じゃあ、何のために来ているかというと、家の風呂では得られない部分を味わいに、である。大きな湯船に浸かる快感を覚えてしまったら、家の風呂には戻れない。さらに、ひとり暮らしのため、わかして掃除する手間が省けるという実務的な面も大きい。その部分に特化して繁盛しているのが、スーパー銭湯であろう。手軽に温泉気分が1,000円程度で味わえたら、時々行こうという気になる。今や、必要に迫られて湯に通っている人など、本当に少数派だろう。しかし業界の感覚は、未だにそれ。確かに、公衆衛生をになっている部分は否定しないが。ただ、客は正直で、設備が良かったり、遅くまでやっていたりするところが結局流行っている。客商売の意味をよくわかっているところが流行っている。今後、どうしても公定価格を維持したいというのなら、各店ごとに割引制度などを自由に設けても良いと思う。常連向けに、その店でだけ使える回数券をもっと安く提供するとか。(なぜか回数券も、都道府県ごとの共通)個人的には、中高校生は割り引いても良いと思う。中学生以上は大人料金だが、仲間と来たら割り引くとか。確か映画がそうでしたよね?若い人に、銭湯の良さを知ってもらうことは、将来のためにも大事。ただ湯を沸かして待っているだけでは、ポテンシャルを生かしていない、そんな気がしてならない。