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***  みなさまの おかげで「5刷」です  ***



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2024.06.11
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トンネルを抜けると、そこは・・・



みなさま こんにちは。 すずひです。









わかりにくいお店って、なんだかそれだけで素敵です。

とても「謙虚」な佇まい ( ´▽`) 


わかりやすく利便性に優れた立地に、

すぐにそれだとわかるのに大きな看板が掲げられ、

建物は大きく広く、駐車場もたっぷりあって、っていう・・・



全て、それの、逆。



車なら探してもきっと3回は通り過ぎてしまう。

自転車でも、徒歩ですら、わかりにくい。


なにせ、道路に面していないのだもの。









たとえば1フロア6部屋なんだけれど、

1階部分だけは4部屋になってて、

そこが駐車場や通路になってる状態のマンションやコーポってありますね。


そこを通り抜けた向こうに、ある。









   ※ この「↓」ところをくぐって入ってきたのよ










え、おばあちゃんの家?

おばあちゃんに会えた気がした。



わたくしと同世代のほとんどの人にとってここは、

おじいちゃんやおばあちゃんの家だ! と、感じることでしょう。

そういうのを若い世代が「古民家カフェ」って楽しむ感覚とはまた違った・・・


想像するのとは違った・・・

遠い日の「本当の記憶」や、心を揺さぶる、なにか。










わたくしは、おばあちゃんが好きだったんですけれど、

大好きだったんですけど、

おばあちゃんが亡くなったとき、あまり泣かなかったんです。


泣かなかった、というか、泣けなかった。


わたくしごときに、泣く権利などない気がして。



 ************************



祖母は、わたくしたち姉妹を、とても可愛がってくれたんです。

それを、母が、おもしろく思わなかった。


姉が可愛がられることに関しては、よかったみたい。

けれどわたくしが可愛がられることは、ひどく目障りらしく、

露骨に機嫌が悪くなるのでした。


急に冷たくされ、八つ当たりされ、

出来が悪いくせに可愛がられるお前はずるい、と罵られ、

そこからは いかに祖母が酷い人間であったかの悪口を延々聞かされ、

わたくしが祖母を嫌うように、祖母を好きにならないように誘導し・・・


幼いわたくしには意味がわからず

(おばあちゃんには優しくしなさい!喜ばせなさい!っていつもいうのに)


なのにおばあちゃんに可愛がられると

 → 母はいじけ、不機嫌になり、時に発狂、わたくしを責める 



なんでこんな態度をとられるんだろう、

なんでこんなこと言われなきゃならないんだろう、

そんなの、まだ子どもなのに、

どうしたらいいかわからないじゃないですか。




そしてわたくしを責め、

ひとしきり祖母の悪口を吐き出して勝手に自分の気が済むと

何事もなかったように話しかけてきたり

おばあちゃんを大切にしなさい!もっと孝行しなさい!と命じたり、


気まぐれにわたくしを抱きしめようとしてくる母親が怖く・・・


とても怖く・・・


わたくしは、祖母を、好きだと思ってはいけない、

可哀想な母のために、むしろ憎まなきゃならない。


祖母に可愛がられることは、母を苦しめること。


母を苦しめるわたくしは悪い子。 


可愛がられるわたくしが悪い、と、信じた。




 **************************




それは違う、違ったんだよ、と。 


今は、わかる。


わたくしは、おばあちゃんに愛されれても良かったし、

おばあちゃんを好きだと思って良かったし、


信じるべきは「わたくしが悪い」ではなく


わたくしのことを可愛いね、いいこだね、と言って


いつもやさしく頭を撫でてくれた祖母の温もり。




おばあちゃんが亡くなったとき、わたくしは泣いて良かったんだよ。


もっと泣いてもよかったんだ。


なんかもう、父が亡くなった時も、祖母が亡くなった時も、


葬儀や、それにまつわる七日七日の親戚云々のややこしいことや、

その後の相続の手続きのあれやこれやの責任や、


何より母が機嫌を損ねないように気を使うことが大変すぎて、

訳のわからない攻撃に耐えること、回避することに精一杯で、

それどころじゃ・・・


本当、泣くどころじゃなかったんだよね。



************************




今はもうない、実家の敷地の・・・

母家の裏に建っていて、

ここと同じように、道路には面していなかった、おばあちゃんの家。


あの頃に建てられた日本の平家なら、

どこもみんなこんな感じなのだろうと思うけれど・・・


天井の低さも、欄間の意匠や、建具の彫刻もそっくりで、

気づいたら、ずいぶんと長い時間、泣いてしまった。


せっかくのコーヒーが冷めてしまうことも忘れて。







  ※ なので、あたたかいコーヒーをおかわりしました。




ああ、もう泣いていい。  

好きなだけ泣いていいんだよ。


いつも優しかったおばあちゃん。


おばあちゃん、憎もうとして、ごめんね。 どうか許して。



おばあちゃん、大好き。  


大好きだったよ。











ここを「一人」で訪れたなら。

いろんな気持ちや懐かしさに泣いてしまう50代やそれ以降のお客さんは

きっとたくさんいるんじゃないかな。


恨みがましいことを言いたかったのではなく、

祖母の優しさを思い出しながら静かに泣けたことが、

この日、とても嬉しかったの。



幸い お客さんは わたくしひとりだけ。

泣いてるおばはんを、しばし放っておいてくれて、ありがとう。


こんな感じのシーンを、もしかしたら見慣れているのかな。


物静かな店主さん、ありがとう。



 ************************



トンネルを抜けるとそこは・・・・


迷いながら歩き続けてきたけれど

この人生はもうどうにもならないと思っていたけれど、


あの頃と比べてずっと自由であることに気づくことができて

遥かに本当の自分を生きることができていると気づくことができて

皆に助けられ今の暮らしが叶ったことに 心から感謝することができて・・・


祖母のくしゃっと笑った顔を思い出して・・・

最後に握ったしわしわの、温かかった手を思い出して・・・




ねえ、またきてもいい?  


また会いにくるね。  おばあちゃん。





今日はこんな日記。



お読みくださって、ありがとう。










手作りの小さなどら焼きも、とっても美味しかった!





またね!






                                   おわり






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最終更新日  2024.06.11 19:19:37



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