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テーマ:将棋(287)
カテゴリ:将棋・藤井聡太
2021年9月13日、 藤井総太九段、史上最年少で3冠達成、 おめでとうございます! (藤井総太3冠) 藤井総太2冠が豊島将之叡王に挑む「叡王戦第5局」は、9月13日、千駄ヶ谷にある「将棋会館」で開催されました。 (第5局開始の様子) これまで、お互いに2勝2敗、この第5局に勝ったほうが「叡王」になるという「最終局」なのです。豊島叡王が勝てば叡王位防衛、藤井2冠が勝てば叡王位奪取になります。 以下にAbemaTVで放送された叡王戦第5局の開始から終了まで、ノーカットで収録された12時間に及ぶYou―Tubeを貼り付けます。 上掲のYou-Tubeの、どの部分でも構いませんから「対局画面」を見て下さい。 盤面の画面上には ★対局者:左側に後手・豊島叡王、右側に先手・藤井2冠) ★残り時間:(持ち時間各4時間、1分将棋になれば1分未満で指す) ★AIによる評価値(優劣):(初手は先手・後手共、各50%、指し手が進むにつれて、評価値が変わり、通常、90%:10%位になれば、90%のほうが「ほぼ必勝」になります) ★AIによる最善の「次の一手」:優劣の数字の間に、これまでの手数と直前の指し手、及びAIによる「最善手」が示されます。 以上のことを頭に置いて、上記You-Tubeの「9時間42分00秒」のところで画面を止めて下さい。この画面では、 ★手数は102手目、直前に後手の豊島叡王が「7二玉」と早逃げしたところです。 (102手目、豊島叡王、「7二玉」を指した局面図、この「図」及び以下の「図」はネットからお借りしました) ★評価値は、豊島叡王が18%、藤井2冠が82%、藤井2冠が「大優勢」の局面です。 ★持ち時間は双方1分将棋、終盤の局面です。 ★AIが示す103手目の藤井2冠の最善手は「5五角」、「8八」にいた角を盤の中央に繰り出し、後手玉に迫るという手です。 ★、画面右側には、最善手の「5五角」の他に、次善手として、「4四角」(-1%)、「5三金」(-1%)、「5二金」(-11%)、「6六角」(-21%)の4種類の指し手が表示されています。 画面を「9時間42分35秒」まで進めて下さい。 この瞬間、秒読みの中で藤井2冠が指した手は、AIの候補には全く上がっていなかった 「9七桂馬」! だったのです。 この手が指された瞬間、解説者の深浦康一九段などからは、 うぉー~~~! 凄い手だなぁ~! という感嘆の声が上がりました。 (103手目、「9七桂馬」を指した局面図) しかし、AIとしては、この手は「疑問手」あるいは「悪手」だったようです。 評価値も、豊島叡王が「18%→38%」、藤井2冠が「82%→62%」と、「ほぼ互角」に戻ってしまいました。 しかし、AI的にはともかく、生身の棋士が1分将棋の中で指す手としましては、正に「AI超えの1手」、「善悪を超えた強手」、「運命の鬼手」などと評され、 藤井2冠の数々の「伝説の妙手」の一つになったのです。 案の定といいますか、豊島叡王は、次の104手目を間違えてしまい、104手目直後の評価値は、豊島叡王が「38%→10%」、藤井2冠が「62%→90%」と、「ほぼ必勝」に振れてしまい、その後、まもなく豊島叡王が投了、叡王位を藤井2冠に明け渡すことになってしまいました。 藤井2冠の103手目は AI超えの鬼手「9七桂馬」! この1手で藤井2冠は「3冠」になった! 長くなりますが、もう一つ、「運命の鬼手」を挙げてみます。 それは今年の7月3日に指された「棋聖戦5番勝負第3局」です。この「第3局」は、渡辺3冠が先手、藤井棋聖が後手です。 (渡辺 明3冠) 下図をご覧下さい。 (95手目、先手6三金) 上掲の「図」は終盤戦、両者1分将棋となり、どちらが先に相手の玉を詰めるかというギリギリの局面で、今、先手の渡辺3冠が飛車取りに金を寄ったところです。この局面で藤井棋聖が「同飛車」と、渡辺3冠の金を取れば、藤井棋聖の玉は詰んでしまいます。 藤井棋聖大ピンチ! 次の一手、どう指すのか? (96手目、7一飛車) 96手目、藤井棋聖が指した一手は、先手の「馬」の効き筋に飛車をタダで捨てる誰もが予想しなかった鬼手「7一飛車」だったのです! タダで飛車をくれるというのですから、当然、渡辺3冠は「7一同馬」と、飛車をタダで取りました。 (97手目、7一同馬) しかし、この飛車のタダ取りは「毒まんじゅう」だったのです。強力な「守り駒」でもある「馬」が、渡辺3冠の陣地から逸れてしまったため、「7一同馬」と指した上掲図は、藤井2冠に「13手詰」の即詰みが生じてしまいました。 藤井2冠の98手目、「7九龍」以降、2手指し進め、100手で渡辺3冠無念の投了、藤井2冠は「棋聖戦5番勝負」を3勝0敗のストレート勝ちで棋聖位防衛を果たし、「3冠」になるとともに、タイトル3期獲得したことで史上最年少で九段に昇段を果たしたのです。この勝利で藤井2冠は渡辺3冠に通算「8勝1敗」になりました。 時の名人に対し通算成績が8勝1敗、 藤井九段はもはや名人を超えた!? <過去に3冠以上になった棋士> 藤井九段は、19歳1か月で史上最年少で「3冠」になりました。戦後の将棋界で「3冠」以上になった棋士は、藤井九段で10人になりました。 ここでは、過去に「3冠」以上になった棋士を挙げてみます。 (1)升田幸三 (升田幸三) (達成年)1957年、(獲得したタイトル)「名人」、「九段」、「王将」(全タイトル獲得) (2)大山康晴十五世名人、 (大山康晴十五世名人) (達成年)1958年、(獲得したタイトル)「名人」、「九段」、「王将」(全タイトル獲得) (5冠達成)1962年、(獲得したタイトル)「名人」、「九段」、「王将」、「王位」、「棋聖」(全タイトル獲得) (3)中原 誠十六世名人 (中原 誠十六世名人) (達成年)1972年、(獲得したタイトル)「名人」、「十段」、「棋聖」、 (5冠達成)1978年、(獲得したタイトル)「名人」、「十段」、「棋聖」、「王位」、王将」、 (4)米長邦雄 (米長邦雄) (達成年)1984年、(獲得したタイトル)「棋聖」、「棋王」、「王将」 (4冠達成)1984年、((獲得したタイトル)「十段」、「棋聖」、「棋王」、「王将」 (5)谷川浩司九段 (谷川浩司九段) (達成年)1988年、(獲得したタイトル)「名人」、「王位」、「棋王」、 (4冠達成)1992年、(獲得したタイトル)「竜王」、「棋聖」、「王位」、「王将」、 (6)羽生善治九段 (羽生善治九段) (達成年)1992年、(獲得したタイトル)「竜王」、「王座」、「棋王」 (7冠達成)1996年、(獲得したタイトル)「竜王」、「名人」、「棋聖」、「王位」、「王座」、「棋王」、「王将」(全タイトル獲得) (7)森内俊之九段 (森内俊之九段) (達成年)2004年、(獲得したタイトル)「竜王」、「名人」、「王将」、 (8)渡辺 明3冠 (達成年)2013年、(獲得したタイトル)「竜王」、「棋王」、「王将」、 (9)豊島将之竜王 (達成年)2019年、(獲得したタイトル)「名人」、「竜王」、「叡王」、 そして、2021年に藤井九段が、 史上10人目の「3冠」になったのです。 <付録:タイトル戦の変遷> ★戦前~1949年:「名人戦」のみ、 ★1951年~1959年:「名人戦」、「九段戦」、「王将戦」の3冠、 ★1960年~1961年:「名人戦」、「九段戦」、「王将戦」、「王位戦」の4冠、 ★1962年~1074年:「名人戦」、「十段戦」、「王将戦」、「王位戦」、「棋聖戦」の5冠(棋士の昇段規定に、新たに「九段位」が設けられたため、タイトルとしての「九段戦」は「十段戦」になりました) ★1975年~1982年:「名人戦」、「十段戦」、「王将戦」、「王位戦」、「棋聖戦」、「棋王戦」の6冠、 ★1983年~1987年:「名人戦」、「十段戦」、「王将戦」、「王位戦」、「棋聖戦」、「棋王戦」、「王座戦」の7冠、 ★1988年~2016年:「名人戦」、「竜王戦」、「王将戦」、「王位戦」、「棋聖戦」、「棋王戦」、「王座戦」の7冠(読売新聞主催の「十段戦」は、1988年に将棋界最高賞金を誇る「竜王戦」に生まれ変わりました) ★2017年~:「名人戦」、「竜王戦」、「王将戦」、「王位戦」、「棋聖戦」、「棋王戦」、「王座戦」、叡王戦」の8冠、 <第34期竜王戦7番勝負> いよいよ10月8日から「第34期竜王戦7番勝負」が始まります。 豊島将之竜王に対し、初めて藤井総太3冠が挑戦者として竜王位に挑戦する待望の7番勝負です。 昨シーズン(2021年3月末)まで、藤井3冠は豊島竜王に対し、通算1勝6敗と、殆ど歯が立たない唯一の棋士だったのですが、今シーズン(2021年4月1日~)は、「王位戦」では4勝1敗で「王位」を防衛、また挑戦した「叡王戦」では3勝2敗でタイトルを奪取、今シーズンは7勝3敗、通算成績は8勝9敗と、ほぼ互角に戻してきました。 今シーズンの竜王戦で、藤井3冠が先に4勝すれば、藤井九段は「棋聖」、「王位」、「叡王」、「竜王の4冠になります。逆に豊島九段は「無冠」になってしまいます。 藤井4冠が誕生するのか、 それともタイトル戦2連敗した 豊島九段が、竜王を死守するのか? 10月8日から始まる竜王戦から目が離せないリュウちゃんなのです。 (追記) 9月17日に行われた「棋王戦挑戦者決定トーナメント」で、藤井3冠は斎藤慎太郎八段に敗れてしまいました。これで、今シーズン中の「6冠」は無くなってしまいました。 <第1期白玲戦、華麗に開幕> 女流将棋界初の「7番勝負」を戦う「白玲戦7番勝負第1局」が9月11日に開幕しました。 対戦するのは女流将棋界の「2強」の一人、西山朋佳(ともか)3冠(女流三段)と、渡部 愛(わたなべ・まな)女流三段です。 <第1期白玲戦第1局、(左)西山朋佳女流3段、(右)渡部愛女流3段)> (西山朋佳女流三段) <渡部 愛(わたなべ・まな)女流三段> この新しい棋戦は、2020年にスタートし、1年かけて64人の女流棋士が順位戦を戦い、順位1位と2位の女流棋士が「7番勝負」を戦い、先に4勝したほうが晴れて「白玲」位に就き、女流棋界最高の優勝賞金1500万円を手にするという棋戦です。 女流棋戦としては破格の 優勝賞金1500万円! 女流棋界は金銭的にも充実してきたのだ! 現在、女流棋界は、西山朋佳3冠と里見香奈4冠の「2強の時代」です。これまで女流棋界には、「7つのタイトル戦」がありました。 以下、「7つのタイトル戦」と、現在のタイトル保持者を挙げてみます。 <女流タイトル戦> (1)「倉敷藤花戦」:(開始年度)1993年、(持ち時間)各2時間、3番勝負、(優勝賞金)非公表、(現在のタイトル保持者)里見香奈女流六段、 (2)「女流王将戦」:(開始年度)1978年、(持ち時間)各3時間、3番勝負、 (優勝賞金)非公表、(現在のタイトル保持者)西山朋佳、 (3)「女流王位戦」:(開始年度)1989年、(持ち時間)各4時間、5番勝負、 (優勝賞金)非公表、(現在のタイトル保持者)里見香奈、 (4)「女流名人戦」:(開始年度)1974年、(持ち時間)各3時間、5番勝負、 (優勝賞金)非公表、(現在のタイトル保持者)里見香奈、 (5)「女流王座戦」:(開始年度)2011年、(持ち時間)各3時間、5番勝負、 (優勝賞金)500万円、(現在のタイトル保持者)西山朋佳、 (6)「マイナビ女子オープン」:(開始年度)2007年、(持ち時間)各3時間、 5番勝負、(優勝賞金)500万円、(現在のタイトル保持者)西山朋佳、 (7)「清麗戦」:(開始年度)2019年、(持ち時間)各4時間、5番勝負、 (優勝賞金)700万円、(現在のタイトル保持者)里見香奈、 (8)「白玲戦」:(開始年度)2020年、(持ち時間)各4時間、7番勝負、 (優勝賞金)1500万円、(現在のタイトル保持者)西山朋佳か渡部 愛 (※)(持ち時間)は、番勝負の時間です。 (里見香奈女流六段) 上記のリストでお分かりのように、女流の7大タイトルは全て西山朋佳と里見香奈の2人で独占しています。 (西山朋佳):「マイナビ女子オープン」、「女流王座」、「女流王将」の3冠、 (里見香奈):「清麗」、「女流名人」、「女流王位」、「倉敷藤花」の4冠、 西山3冠、里見4冠、共に「女流棋士」ではなく、「棋士」になるために「奨励会」に入り、もうすぐ「棋士」になれる寸前の「奨励会三段」まで昇段したのですが、、ここの壁は厚く、2人共、残念ながら「棋士」になる夢は破れてしまいました。 里見4冠の段位は六段、西山3冠の段位は三段と、大きな差があるのがちょっと奇妙なのですが、これは多分、里見4冠が当初から女流棋戦と奨励会の両方に所属していたのに対し、西山3冠は、ずっと奨励会一筋で、女流棋戦は一部を除いて基本的には参加していなかったことによるものだと思われます。 西山3冠が奨励会を退会したのは、今年の4月1日、まだ「女流棋士」になって半年しか経っていない「新参者」なのです。 西山朋佳3冠。 順当に行けば年内に4冠達成だ。 ということは、 西山さんは女性版「藤井総太」だ!
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