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テーマ:はじめに-出会い(3)
カテゴリ:展覧会(美)・能狂言・コンサート(音楽)
今日の公演は茂山家による狂言「右近左近(おこさこ)」と観世流「殺生石」。右近左近は中世の百姓でも訴訟を起こしていたという面白い事実に基づく話です。殺生石は、妖怪の狐伝説の話で、今でも那須には実際に溶岩で有毒ガスが噴出している「殺生石」があって松尾芭蕉も「奥の細道」で訪れたことを記しています。
茂山家は京都を本拠地に活躍しており、関西では野村萬斎さんより人気があります。今日は茂山家の中でも私の一番好きな役者である茂山七五三(しめ)さんが出演しました。この方は人間国宝・茂山千作さんの次男で、本家筋でなく余裕がなかったこと、そして今のように狂言師がもてはやされない頃に生活のため地元・京都の信用金庫に勤め銀行員と狂言師の二束の草鞋をはいて頑張ってきた人です。独特のとぼけた味がある良い役者だと思います。 観世流の方もまた私が好きな能楽師・山本順之さんがシテ(主役)でした。この方は動きがキビキビしていて見ていて飽きません。一昨年、能の調べ物をしていた時、現在の能の上演時間が室町時代の能に比べると少なくとも倍以上の長さになっているとの研究がありました。そう、現代の能は長すぎるのです。私も能を観るのは好きですが、寝ていることも多いです(笑)。上演時間が延びていったといわれる江戸時代の能でさえ、記録を見ると一日に5~7演目以上上演しており、間に狂言が入りますから、今のように1演目に一時間以上かけて上演されることなど無かったと推察されます。明治時代に能を西洋のオペラに対抗できる芸としたのはよいのですが、変に「お芸術」となってしまい、もったいぶって演じるようになってしまったことが必要以上に緩慢な動きの原因と言われています。 家元制度の縛りがあるので、各能楽師は勝手に時間を短くして演じられないのでしょうが、室町時代のように「美少年ショー」だった頃の能が観たいものです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年03月13日 00時58分39秒
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