新世界より (Shinsekai-yori) 業魔の話 (Karma demon) 【Anime】【日本語】【English】
(字数の関係で分かれています。業魔が出て来る第2話は→ 第2話「消え行く子ら」【業魔の話】今から80年ほど前の話。村に一人の少年が住んでいた。とても頭の良い子供だったが、一つの欠点があった。その欠点は、成長するにつれて、しだいに誰の目にもあきらかなものになってきた。少年は、自らの頭の良さを誇るあまり、あらゆるものを小馬鹿にしていたのだ。学校や村の大人たちから教わることを、表面的にはよく聞くふりをしていたが、大切な教訓はけっして彼の心には届いていなかった。傲慢は業の種を蒔く。少年は、しだいに友達の誰からも遠ざかるようになった。孤独だけが彼の友人になり、話し相手になった。孤独は業の苗床になる。ひとりぼっちになった少年は、思案に耽ることが多くなった。そのうち、考えるべきではないことを考え、疑ってはならないものを疑うようになった。悪い思考はとめどなく業を蔓延らせていく。そして、少年は、知らず知らずのうちに業を積み重ね、しだいに、人間ではないもの、業魔へと変わっていったのだ。いつしか村は業魔を恐れて空っぽになってしまった。業魔は森の中に住んでいたが、いつのまにか、森の中からも、生き物という生き物が姿を消していた。業魔が歩くと、まわりにあった植物は、奇怪にねじくれ、想像もつかないような形に変わり、生き腐れていった。業魔が触れた食べ物は、たちまち致命的な毒に変じた。業魔は異様な死の森を彷徨い歩いた。業魔はようやく、自分がこの世に存在してはいけないことに気がついた。業魔は暗い森を抜けていった。すると、目の前が開け、きらきらとした輝きに包まれた。山奥にある、深い湖に辿り着いたのだ。業魔は湖の中に入っていった。この清浄な水が、すべての業を洗い流してくれるのではないかと思いながら。だが、業魔の周囲の水は、急速にどす黒く変色していった。湖の水までもが、毒に変わりつつあるのだ。業魔は、この世に存在してはいけない。このことを悟って、業魔は、ひっそりと湖の底に姿を消したのだった。There lived a boy in the village about 80 years ago.He was a boy of great intelligence, but he had one weakness.As he grew in to a man, it became increasingly clear to everyone.The boy mocked all things around him, so as to glorify his own intellect.He pretended to listen carefully to all the things that the school and the village'sadults taught him, but the important lessons never touched his heart.Pride plants the seeds of bad karma.Solitude was his only friend and confidant.Solitude brings the seeds of bad karma to fruit.His bad karma grew rampant like vines, watered by his thoughts.Unbeknownst to him, the boy's karma spiraled further out of control,and eventually he lost all his humanity.He had turned into a Karma demon.....The Karma demon realized at last that his existence was for the worse of this world.Karma demons ought not to walk this world.Now that he knew it, he quietly walked his body to the bottom of a lake. ↓足あと、ことづてが残せます(要登録)