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Taste shop of Showa "cool man boogie-woogie"

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もう20年以上前のこと。

場所は東京・港区にある、スペイン料理レストラン。

当時バブル景気に乗り急成長したアパレル会社

が経営していた店だ。


ある日の18時頃。

私の記憶に間違いがなければ、

その男は真っ赤なフェラーリでやって来た。

店のまん前にクルマを止めると、

運転席から降り立ったその大柄な男は、

颯爽とした身のこなしで素早く助手席側にまわるとドアを開け、

席にいた女性をエスコートした。

女性はレディ、というよりマダムと呼ぶにふさわしい風貌で、

年のころは40代後半といったところか。

はおった毛皮のコートが少しもいやらしくない。

エステサロンのオーナーといった風情である。

傍らのその男をあらためて観察する。

年齢は40歳手前くらいであろう。

背の丈は180センチはゆうにある。

がっちりとした体格であるが手も足も長く、

身のこなしは野生動物のようにしなやかだ。

浅黒い肌に掘りの深い顔立ち。

決して美男子ではないが野性味を帯びたその風貌は、

同姓から見ても一瞬息を呑む程だ。

霊感というものが全く無い私にさえ、

普通の人間にはないオーラというものが

痛烈に感じられる。

さすがアクター、スターと呼ばれる人間である。


「ようこそ、お待ちしておりました。こちらへどうぞ。」

と私は声をかけた。彼は当時私の在籍していた企業の、

VIP顧客だったのだ。本日はその謝恩パーティであり、

今回私は彼のホスト役を仰せつかった訳だ。

彼らを席に案内すべく店のエントランスをくぐると、

お店のスタッフはもとより、来賓の方々の視線が一斉に集まる。

招かれているのは人生において成功されたお客様達。

そのような人々でさえある種の畏敬と、

羨望の入り交じった想いで彼を見やる。


私は思い出していた。

1975・4・13、「キャロル」解散コンサート当日。

4人を乗せた白いビュイック・コンバーチブルの周りを囲む、

黒色に統一されたオートバイと黒い革ジャンに身を包んだ男達。

その者達を束ねる”ボス”と呼ばれた男。

その男が今まさに眼前にいた。

<続く>









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最終更新日  January 12, 2010 11:16:07 AM
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