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テーマ:芸能ニュース(18906)
カテゴリ:ドミニク山田の回想日記
次々に運ばれる豪華なスペイン料理にシャンパン、 宴が幕を開けた。 男は鷹の様に精悍でワイルドな風貌だったが、 人と接する時の物腰の柔らかさが対照的であった。 どこのテーブルに招かれても、笑顔で応対し、 握手や記念撮影を求められても気さくに応じていた。 そんな時間が流れる中、ふと男が人波からはずれ、 店の隅で一息ついている所に出くわした。 思い切って声をかけてみた。 「○さん、○さんはお元気でいらっしゃいますか?」 突然に身内の名前が出たので少しびっくりした様子だ。 「・・・○を知ってるんですか?」 「以前に、私が勤めていた会社でアルバイトをされてました。」 「そうなんですか。それはお世話になりました。」 「いえ、部署が違ったので直接私が お世話した訳ではないのです。」 そんな短い会話をかわした後、また別のテーブルに招かれると、 男は軽い身のこなしで椅子から立ち上がった。 「では失礼。」踵を返し、大股で歩き去った。 そして宴も終わりに近づき、私はゲストを見送るために店を出て、 扉の前で待機していた。 何人かのゲストに挨拶をし、見送っていると、 男が件の女性を伴い現れた。 「今日はどうもありがとうございました。」 「お世話になりました・・・。」 そして男は女性の耳元に口元を近づけて、 「あのねぇ、○がこの方のお世話になったんだ・・・。」 と囁くように言いながら、 軽い足取りでフェラーリの助手席側のドアを開け、 女性を乗せたのち、自分も運転席に乗り込みエンジンをかけた。 短いクランキングの後、あの猛々しい咆哮があがった。 その獰猛なエンジン音は、まさにその男にふさわしい。 だが直感で思った。 このクルマはきっと連れの女性がオーナーなのだと。 男とこのクルマは少しミスマッチな気がしたのだ。 そう、男には獰猛でマッチョで、繊細さも併せ持つ、 たとえばコブラのようなクルマがきっと似合うだろう。 そんなことを考えている間に、 真っ赤な伊達クルマはゆっくりと走り出し、 夜の青山に消えていった。 見送る私は、この夜の出来事を強烈に心に刻み込んだ。 あの伝説のバイクチーム、 ここから僅か1キロ程先のカフェが当時の溜り場だった。 その”ボス”と呼ばれた男・・・。(終)
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最終更新日
October 15, 2010 11:46:36 PM
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