男どき女どき 向田邦子著
<何事も成功する時を男時(おどき)、めぐり合わせの悪い時を女時(めどき)という・・・。何者かによって台所にバケツごと置かれた一匹の鮒が、やがて女と男の過去を浮かび上がらせる「鮒」、毎日通勤の途中にチラリと目が合う、果物屋の陰気な親父との奇妙な交流を描く「ビリケン」など、平凡な人生の中にある一瞬の生の光芒を描き出した著者最後の小説4篇に、珠玉のエッセイを加えたラスト・メッセージ集>的確で簡潔な文章で綴られた短編とエッセイ、向田さんはやっぱり最高に美味いです。これが最後の作品だったなんて、返す返すも惜しい!ちょうど脂ののりきった年齢での飛行機事故、残念です。「ゆでたまご」「無口な手紙」などのエッセイは特に心に残りました。