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日常のニュースからひも解く自らの視点

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村松克哉

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2024年11月
2024年06月15日
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カテゴリ:経営



 国土交通省は複数の自動車メーカーから形式指定申請における不正行為の報告があったと発表しました。不正行為があったのはトヨタ自動車・ホンダ・マツダ・スズキ・ヤマハ発動機の5社です。
 国土交通省はダイハツ工業などの不正事案を踏まえて形式指定を取得する自動車メーカーなど85社に対して調査と報告を指示していました。2024年5月末時点で調査を完了したのは68社でこのうち64社が不正行為なしと報告していました。調査を継続中の17社のうち16社は不正行為について判明していないとしていました。
 不正行為のあった自動車メーカーに対し国土交通省は不正行為があった現行車種の出荷停止を指示しました。調査継続中のトヨタ自動車には最終的な調査結果を速やかに提出するよう求めました。今後は不正行為を報告した自動車メーカー5社に立ち入り検査を行い事実関係などの確認を行います。不正行為があった車種の基準適合性も確認します。立ち入り検査や基準適合性の確認結果を踏まえ道路運送車両法に基づき厳正に対処することになります。
 トヨタ自動車の会長は不正行為が見過ごされた背景に全体像の把握の難しさがあると説明しました。認証業務の全体像はトヨタ自動車だけでなく他の自動車メーカーも把握できていないのではないだろうかと認証プロセスに対する意識が欠けていたことに言及しました。トヨタ自動車会長自身が認証について考えが甘かったことを認めたのです。
 認証はかかわる人員の多さに加えて曖昧で個人の技能に頼る部分が多く、ルール整備がされていないという問題を指摘しています。属人的で標準化されていなかったようです。認証項目に関して各工程が行うべき作業を標準化し、保証すべき品質基準を整理して今後の再発防止に努めるとしています。認証制度なんて関係ないという今までの自動車メーカーの体質が明らかになりました。
 車種が多くなり様々な仕様がある中ですべての試作車で安全面や環境面を試験することは不可能と述べていました。現場の判断でユーザー向けの安心安全は担保されている、厳しい試験をやったから大丈夫だと言っておりますが、どうなのでしょうか。ユーザーから見れば疑問です。全く理解できません。開発と量産の品質レベルが同じだとどうして証明できるのでしょうか。これは企業側の言い訳に過ぎないと思います。
 認証に関してやってはいけないことをやってしまったとトヨタ自動車の会長は述べましたが、果たして再発防止できるのでしょうか。自動車工業会などを通じて国にも関わってもらいながら安全安心に乗れる車のルールを作るきっかけにしたい、何がユーザーのために日本の自動車の競争力向上のためになるかという議論になっていってほしいという言葉には安全安心の車のルールづくりはできていないのが現状と理解できます。しばらく車づくりをやめるとでもいうのでしょうか。安心安全な車に乗れるルールがつくられない限り、ユーザーは怖くて日本車には乗れないと思います。
 そこにあるのは企業視点であり顧客視点は置き去りにされています。開発段階での試験は厳しい試験をパスしているから量産は大丈夫だという技術神話による開発技術者の慢心であり、経営者自らがそれを吐露したという衝撃的な記者会見でした。何のために公的認証があるのか。プロセスがあるのか。量産品質と開発品質は別物であるはずなのに日本の車づくりは認証制度を無視し続けてきたのであり、日本の車製造技術は崩壊していると思いました。車種の多さや忙しさ、台数規模を言い訳にし、認証プロセスを軽視し、思い込みと慢心でモノづくりをする企業は顧客から見放され市場から退場するのみです。





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最終更新日  2024年06月15日 09時00分49秒
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