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村松克哉

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2024年11月
2024年06月25日
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 世界経済フォーラム(WEF)は男女格差の現状を各国の統計をもとに評価した“Global Gender Gap Report”の2024年版を発表しました。日本のジェンダーギャップ指数は146か国中118位で過去最低の順位だった前年(146か国中125位)から小幅に持ち直しました。しかし、政治・経済分野は低迷が続き、男女格差が埋まっていないことを浮き彫りにしたままの状態が続いています。
 報告書は各国の男女格差を「経済」「教育」「健康」「政治」の4分野で評価し国ごとのジェンダー平等の達成度を指数にしています。「0」が完全不平等、「1」が完全平等を示し、数値が大きいほどジェンダーギャップが小さいことを示します。2006年に公表が始まり、今回が18回目となります。
 世界全体の総合スコアは0.685で前年(0.684)からわずかに改善しました。日本の総合スコアは0.663で前年(0.647)から若干上昇したものの順位は118位にとどまりました。G7(主要7か国)を見るとドイツ(7位)・英国(14位)・フランス(22位)・カナダ(36位)・米国(43位)・イタリア(87位)と続き、日本はG7では断トツの最下位(118位)でした。
 1位は15年連続でアイスランド、スコアは0.935です。ジェンダーギャップが93.5%解消されていることを示しています。2位がフィンランド、3位がノルウェーで上位を北欧諸国が占めました。アジアではフィリピン(25位)やシンガポール(48位)の順位が高く、日本は韓国(94位)、中国(106位)を下回る状況が続いています。
 日本のジェンダーギャップ指数は2006年の第1回が0.645で115か国中80位でした。その後もスコアは横ばいが続き2024年は3年ぶりに改善しました。順位も2年ぶりに上昇したものの下位グループからは抜け出せていません。やはりジェンダーギャップ指数でみる日本は後進国と言わざるを得ません。
 分野別スコアと順位を見ると特に深刻なのが政治で、次が経済という状況が継続しています。政治分野のスコアは0.118で順位は146か国中113位にとどまるものの前年(0.057・138位)からは改善しました。2023年9月の内閣改造で女性閣僚が過去最多に並ぶ5人となったことがスコア上昇につながりました。一方、衆議院の女性議員比率は約1割にとどまり、女性首相がひとりも出ていない状況も変わっておらず男女平等の実現への道は遠いです。
 経済分野のスコアは0.568で順位は120位でした。スコアは前年(0.561・123位)からわずかに上昇しましたが、順位は政治分野に逆転されました。労働参加率の男女比、同一労働での賃金格差などどの項目を見ても大きな改善はありませんでした。特に女性管理職比率の低さは世界的にみても低水準のままであり、先進国はおろか世界的にも異常と映ります。日本の中でもジェンダーギャップ指数の算定自体に異議を唱える人がいますが国際基準でこの体たらくでは異議を唱えてもどう考えてもその人の良識を疑わざるを得ません。
 健康は0.973の58位(前年は0.973の59位)、教育は0.993の72位(前年は0.997の47位)でスコアは前年から大きく変わりませんでした。WEFは現在のペースでは完全なジェンダー公正を達成するまであと134年かかると指摘しています。一方、2024年は世界各国で国政選挙が行われる選挙イヤーです。選挙結果によっては女性の政治的代表権とジェンダーギャップが全般的に改善される可能性があります。日本では今年、国政選挙はありませんので(おそらく!)来年のジェンダーギャップ指数はさらに後退する可能性があります。
 岸田首相が内閣改造で上川氏ら女性閣僚5人を起用した際には「女性ならでは」などと発言し問題視されました。自民党から麻生氏をはじめわざわざ性別を強調する発言が連発される背景には女性の起用や擁立が大きく遅れている党の旧態依然とした体質があります。女性がほぼ半数の社会全体を反映し代表する政党とはいいがたいです。しかも麻生氏はこれまで2人の女性外相がいたにも関わらず「女性が日本の外務大臣になった例は上川氏以外に過去にないと思う」と誤認していました。政治家として基本的な認識さえ疑われる発言でした。もはや社会の問題として議員・閣僚・管理職・役員は女性枠として半数くらいを割くくらいの荒療治の対策が必要かもしれません。





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最終更新日  2024年06月25日 07時55分06秒
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