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日常のニュースからひも解く自らの視点

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村松克哉

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2024年11月
2024年07月23日
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カテゴリ:経営



 業績好調の伊藤忠商事の石井社長のテレビインタビューをテレビ東京「モーニングサテライト」で見ました。同社は1858年の創業で麻布の行商が原点にあります。今も繊維部門を抱えている唯一の総合商社です。売上高で14兆円、営業利益で7000億円を稼いでいますが、さらなる高みを目指しています。
 経営方針のテーマは「利は川下にあり」です。社会の変化に伴いお客様のニーズは多様化しており、これまでのビジネスモデルだけでは通用せず、利益を生み出すための手がかりは常に川下にあると考えています。160年超の歴史の原点である、より消費者に近い川下ビジネスの強みを深化させ、事業領域を拡大しています。
 世間を騒がせた中古車販売のBIG MOTORを買収し、WECARSを設立しました。乾電池ブランド「デュラセル」の買収などハンズオン経営で立て直していきます。ハンズオンとは買収先企業のマネジメントに深く関与していくことを示しています。伊藤忠のリソースを使って指示を出すだけでなく、人も派遣し、実地で体験し、実務に携わり、現場で実践します。海外事業では伊藤忠商事は日中友好の象徴的な商社ですが、今期は北米の事業に注力します。
 2024年度の経営計画については連結純利益は8000億円のステージから力強い右肩上がりの成長を示す水準として過去最高の8800億円としました。また、当社の強みである、経営の効率性を示すROEは、依然一桁水準にとどまる日本の上場企業平均を大きく上回り、商社最高水準である16%としています。当社は時価総額で9倍・労働生産性で5倍・株価で9倍を達成しましたが、新たな高みを目指して基準となる指標を示しているのが他の日本企業との大きな違いと感じました。他の日本企業も時価総額・労働生産性・株価を経営計画の目標値として公表し決算時に株主に対して公開してもらいたいものです。
 もうひとつの印象に残った言葉が「投資なくして成長なし」です。成長投資に舵を切り、前中期計画期間での余資も含めて1兆円を上限に投資を促進し、業績向上のために手を打っていく姿勢です。ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイ社との協業を行っており、投資家との対話を定期的に行っているのも印象的でした。
 営業から管理部門に至る全社員が常にマーケティング力を磨き、創業以来160年超にわたって築き上げてきた川上・川中における資産・ノウハウを駆使し、より消費者に近い川下ビジネスを開拓・進化させ、企業価値の持続的向上を目指すことを指標や数値で示し、実践する姿には感服しました。これまで積み重ねてきた先進的な取り組みにより、外部からの高い評価を通じて企業ブランドを築きあげ、財務面の成長と相乗効果を生み、企業価値を向上させてきました。マーケットインの発想を全社員が行い、市場・社会・生活者の声に耳を傾け地道な定性面を磨き上げてきた結果、築き上げてきたブランド価値ですが、当社は更なる向上を目指しています。
 伊藤忠商事が学生から選ばれる企業No.1の地位を堅持し優秀な人材確保を継続できているのは、こうした歴代経営者の一貫した姿勢から生まれたものであることを確認しました。夜の残業を禁止し、朝方勤務の奨励を行って厳しくとも働き甲斐のある会社を実現し社員の貢献意欲を向上させ、さらなる労働生産性を追求しているのは流石です。日本企業はダラダラ長時間残業で給与をかさ上げしているところが多いのでこれを改善する必要があります。給与と成果がリンクする人事評価・人材育成などHRについては特に日本企業が欧米企業に比べて劣っている課題は改善しなければなりません。





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最終更新日  2024年07月23日 07時46分20秒
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