カテゴリ:読書
取材に基づくフィクションということだが 真実味や迫力からいうと、ノンフィクション のように感じる。 引きずり込まれて、一気に読んだ。 大筋は、シングルマザーの母親とおだやかに 暮らしていた少女が、母親の若い愛人の出現によって ふたりから虐待にあうようになり、果てに死亡する。 母親も子供の頃、父親から虐待されていた過去を持つ。 こう書くと、類型化された虐待の例みたいだが 学校や行政の対応などの描写もリアリティがあり 覆面作家だという筆者の経歴などは分からないが 関係者ではないかと思わせるような、説得力がある。 この家庭での虐待や学校でのいじめ、野外での 変質者によるいたずら、その他、子供を取り巻く環境が これほどまでに荒んでいる時代は、過去に例がないのではないか。 折りしも、今年を象徴する漢字は「命」だという。 子供に限らず、命や情愛というものが、軽んじられているのも 今の時代ではないか。 頻繁に起こる悲惨な事件は、偶発的な現象というものではなく 時代の潮流が生み出した必然であって、それによる結果は 我々にたいする警告だ、なんていったら大げさだろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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