カテゴリ:読書
古い話になるが、おいらの学生の頃は大学紛争も 終焉に向かいつつあった。 それでも単発的な学生集会はいくつかあり 発言者の論旨に「異議なし」などと叫ぶ場面も見られた。 どうかすると、当時深夜映画にはヤクザ映画がかかることが 多かったが、高倉健のセリフに「異議なし」と叫ぶ観客もいた。 安吾の物言いに、思わずこの「異議なし」を使ってみたくなり 古い時代を思いだした。 戦後まもなくに、「新潮」に発表した「堕落論」をはじめ 当時、雑誌や新聞などに書かれた批評文をまとめた本です。 思っていても、なかなか口に出せないことを 代弁してくれているようで、小気味がよい。 根源的なテーマばかりなので、今の時代でも古びていない。 ただ、部分部分としては面白いのだが、文全体を見ると 論点がぼけているようなのもある。 書きすぎというか、この人正直なんだろうなあ。 それが、安吾が今でも愛されている理由かも知れない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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