カテゴリ:読書
読書ということで、これまで取り上げてきた本に 戦争やその時代を題材にしたものが少なくない。 別においらが戦争好きというわけでもなく 一昨年からか、こういう本の出版が多いからではないか。 戦後60年過ぎ、今一度戦争というものを見つめなおそう という流れになっているのかも知れない。 この本、作者の体験に基づいた自伝的小説。 医者の父が、故郷で開業するということで、 家族そろって、戦争直前の沖縄に渡る。 青い海や昆虫採集にと自然に親しんでいたが、 まもなく開戦を迎える。 戦火をのがれ、軍医として従軍する父だけを残し、 母の実家の甲府に疎開する。 終戦後、父の消息を辿るべく、再度沖縄に渡る。 家族の生計を支えるべく、混乱する時代の中 米軍の通訳らしき仕事に雇われる。 そこでの数奇な体験や知人たちの運命に まだ大人になる前の少年は翻弄されていく。 あとがきによると登場する人物はほとんどが実名とか。 ノンフィクション作家らしく、小説とは言え 多くの参考文献の裏付けもあり、臨場感のある内容になっている。 米軍関係者たちの好意にも助けられるが 以前にも書いたように、沖縄の人たちにとっての敵は 米軍などではなく日本軍だったように思えてしょうがない。 軍部上層のバカな思想がなければ、いかに多くの人が死ななくて 済んだことだろうか。 本土から離れているだけに、かえって軍国教育が徹底していたようだ。 好きな学問も断念せざるを得なかった作者だが 今日あることが、救いだろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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