「卍」 若尾文子
かなり前に、市内に映画館がひとつもなくなったけど学校に通っていた頃は、5館あった。そのうちの、東映、大映系列の映画館が通学路にあった。入れ替わる映画看板を見るのがひとつの楽しみとなっていた。今で言うエッチ系の映画もかかったりしたが小中学生の身では中にはいるすべもなくひたすら早く大人になるのを願っていた。笑映画を見なくても、炎加代子や叶順子らの女優の名前は、看板を見て覚えていた。この「卍」もそんな映画のひとつに含めていた。先日、オンデマンド・TVにリストアップされん十年を経て見ることができた。原作はもちろん谷崎潤一郎であり、主演が若尾文子というのは知っていたが、監督が悪女を撮らせれば定評のあった増村保造で脚本がなんと新藤兼人だったのが今回初めて分かった。しかも共演は岸田今日子。なかなかのメンバーだったんだなあ。ストーリーは長くなるので省略。若尾文子はいまでこそ、いろいろの役柄を演じており好きな女優のひとりだが、当時はこういう路線の映画が多かったように記憶している。昔を思い出し、苦笑いしていた次第である。