本のタイトル・作者
月14万円の年金で夫婦が生活している術 [ 中町敏矢 ]
本の目次・あらすじ
スタイル(生活様式)編:年金14万円でも実は「生活強者」
1章:老後不安なんか、ただの幻(ファントム)です
2章:「ゼロ円生活」全部見せます
3章:スリムな葬儀で「終わりよければ全てよし」を目指す
4章:我が家の「身の丈」運用術
システム(法制度)編:知ることが「トク」への第一歩
5章:複雑な「年金の森」でも、迷わずにすむ要点
6章:税金は知識で安くなる、ノーリスクの節税策
7章:知らないはソン、深く知るほどトクする健康情報
8章:世帯分離という「法の魔法」
引用
マネーで幸せが買えるなら、カネ持ちはみんな幸せだ。リクツを言えば、大金持ちがいちばん幸せだ。この国って、そんな国だったのか。不安を消せるクスリとはなにか?それぞれが「人生の原点」を見つめ、自分の答えを発見するしかない。
感想
2023年064冊目
★★★
最初、表紙を見て、「幼い子供がいて、夫婦共働きで、月14万円で暮らしているミニマリストFIRE本」だと思ったんですよ。違った。よく見て。タイトルに「年金」って入ってるやん。
なのでターゲットから外れていた私。
でも興味深く読みました。
やっぱり、子供がいてこれからお金がガンガンかかってくる世代と、子育ても終わり、年金暮らしになっていく世代とは、お金の掛け方も違うよね〜。
(この本、後半は年金のもらい方と病気の話やから。繰り下げ受給とか白内障の手術をお得に受ける方法とか)
この本の書き手が、すごくこう、漫談調?おじさん構文?で、慣れるまでは読みにくい。
でも、読み進めているうちに、面白くなってきた。
ブログかなにかをやっていた方の書籍化なのだろうか?
中町敏矢(ナカマチトシヤ)
1948年大阪府生まれ。団塊の世代だが、学生運動の経験ナシの高校卒(当時の進学率20%を考えればこれが普通)。大阪と京都で小企業を2回転職、経理マンとして定年まで勤め上げる。地味な暮らしは退職後も代わり映えなし。これを不幸と思わないのが取り得か。サラリーマン時代に培った経理の知識を武器に、少額年金でラクに快適に過ごす毎日
著者は芦屋に暮らしているんだけど、「高校生のハルキは」と村上春樹が登場して面白い。
ほかにも著名人の言葉や行動の引用があり、ゴシップもお好きなんだろうなという感じ。
私は人の手帳・カバンの中身・ワードローブの構成・家計簿を見るのがたいへん好きなのですが、この方は、月に夫婦二人年金14万円。
食費は4万円くらいで、家賃は公営住宅の賃貸で31,000円。
光熱水費は15,000円。
服も家電も家具も、昔買ったものがあるから買わない。
クスリと、ケータイ(妻のみ)だけ。
趣味はテレビでの映画鑑賞と、図書館での読書。
そりゃあお金かからん。
で、その暮らしが悲愴か?というと、そうじゃない。
普段から倹約しつつ、出すところにはお得に買いながらも支出して(美味しいパンやお肉)、教会の無料の英語教室に通いながら、楽しく暮らせる。
人間、上を見るときりがないし、下を見てもきりがない。
ただ、自分としての最低条件を低くしておくと、生きていくハードルが下がる。
お葬式じゃなく献体、というのは新しいなと思った。
家族葬や直葬はあれど、献体!その発想はなかった。
ただつい先日、お葬式に出て思ったのは、「これって、存在を非存在にするための儀式なのかな」ということだった。
目の前にある「肉体」が、その人の存在の容れ物としてある。
それを、儀式を経て灰にして納めることで、「ない」ものに変換する。
その人はもうそこにいない。けれど肉体はここにある。
という、矛盾を解消するための行程というか。
私もお葬式は不要派だったのだけど、ただ、その存在を非存在にする過程を経ずに、周囲は不存在を受け入れられるんだろうか。
焼いて、骨にして拾う。
それをして、「もういない」を生きている者に刻みつけているんじゃないだろうか。
ひとのお葬式で、自分の葬式のことを考える年になった。
親の葬式のことを考える年になった。
すでにある、確立されたルートに乗っていけば、楽だということも分かる。
それが残された者のためなのだとも。
ただ、高いよねえ、日本のお葬式。
この本によると、世界一高いらしい。
日本の全国平均が208万円。
韓国37万円、アメリカ44万円、イギリス12万円だという。
できれば30〜40万円くらいになればいいのにね。
私が年を取ったとき、年金はいったい何歳からの支給になっているだろう。
そしてそのとき、私は元気にしているのかな。
そもそも、その年まで生きているんだろうか。
健康で長生き。それが理想で、幸福であるはずだけれど。
それとは程遠いこの国の現在と未来。
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