あらためて、試写会を見に行きました。とてもおもしろかったし、私としては共感しまくりな部分も少なくなかったので、是非感想を、と思ったのですが。
これから公開されるので、詳細はふせておきます(笑)。
これはジェリー・ニューポートさんとメアリー・ニューポートさんというお二人と、ジョニー・ドットさん共著の、同名の自伝本「モーツアルトとくじら」(NHK出版・1月27日発売予定)を、「レインマン」のロナルド・バスが脚本、ノルウェイのピーター・ネスが監督で映画化したものです。
ジェリー・ニューポートさんは、実際「レインマン」を見て、はじめて自分がアスペルガー症候群であると気付き、アスペルガー症候群や自閉症の大人のためのサポートグループを立ち上げられた方だそうです。
うまく説明できる自信がないんですが・・・
「僕らはいろんな重荷を背負っている」という歌詞のBGMが流れているシーンがありました。人間生きている以上、それぞれ詳細や程度は違えど「重荷」というものはあると思います。
この映画の主人公になったお二人は、アスペルガー症候群という特質から、特有の生きにくさを持っていますが、また逆に特質ゆえに持てる豊かな時間もあるわけです。なによりその特質が二人を引き合わせたんですが、そのこともまた葛藤にもなり、深い理解にもなりと、そういう姿をそのままに描いている映画なんです。
お説教じみてもいないし、誇張もない。
お二人とも「アスペルガー症候群」という診断を受けているわけですが、タイプがまったく違います。それからアスペルガー症候群だけではなく、自閉症の症状がさまざまで、ひとまとめには語れないことも、よく伝わってきます。
自閉症というのは、やはり感じ方の違いやこだわり行動の違いなどお互い理解しづらい面が高い障壁となるので、たくさんの人がこの映画を見たらいいなあーと思います。
程度の差はあれど、自分はアスペチックだと思っている私としては、イザベラ(主人公の女性)に共感を覚えるシーンも少なくありませんでした。
私には絵と音楽の才能はありませんが、衝動性とかいろんな部分で共通点があり、映画のシーンなのに過去の自分の姿と重なって、実は遠慮なく大笑いしたかったり。でも切なさもぐっと胸にきちゃったりと、ちょっと見ていて忙しかったです。
ドナルド(主人公の男性)が、レンジの時間表示につりこまれて数字の世界にはいってしまうシーンも、「ああ、行かなくちゃ、と思いつつ、目と気持ちが離れないんだよねー。あるある」なんて変な親近感を覚えちゃったり。
笑えるシーンで、笑ってはいけないとセーブしてしまう瞬間があるかもしれません。
笑ってしまってから、実はとてもつらいシーンなのだと思う瞬間もあるかも。
あるいは、最初から最後まで、笑うどころじゃないと思う人もいるかも。
でもたぶん、大いに笑って大いに泣ける、恋愛映画です。
広く公開された後にどんな評判になるのかとても興味があります。
たぶん、誇張された恋愛映画としてはこのくらいの表現があたりまえ、だけど実際にはあんまりこういうシーンはないよねーみたいな場面もあります。この映画の場合、恋愛映画のための誇張ではなくて、アスペルガー症候群や高機能自閉症の人たちの周りでは、このようなドラマチックな日常が実際あるのですが、それが解説抜きでどのくらい伝わるのかなーと。
とにかく(?)切なくて素敵なラブストーリーでした。