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テーマ:読書(8606)
カテゴリ:読書
泣ける本ということで読んでみました。
ゼロってなんだろうと思ったら、太平洋戦争のゼロ戦パイロットのお話でした。興味深い導入で本当にぐいぐい作品に引きずり込まれました。 あまり戦争ものの小説を読んだことがなかったですが、この本はきちんと分析した歴史に基づいたストーリーになっているので、太平洋戦争の流れもよく分かります。 戦争といえば原爆被災者の話はよく語られますが、実際に兵隊さんだった方たちは多くを語らないので私たちは本当のことを多くは知らなかったのではないでしょうか。 この本では主人公の宮部さんについて語られるという形式で、生々しい戦争の現場を知ることができました。宮部さんを悪く言う方から始まりましたが、何人かの方からの証言で実は人間的でありながら凄腕のパイロットであったことが明らかになっていきます。戦況は悪化の一途をたどり、軍部の暴走で、ついには強制的な特攻作戦という恐ろしいことになっていきます。 カミカゼアタックとテロに共通項を見出す記者も現れますが、特攻はテロとは断じて違う、と経験者は憤ります。愛する家族、国のために戦うしかなかったわけですが、最終的にとてつもなく非人間的な作戦でも軍の体制に抗うことができなかったわけです。本当にひどい話です。「私は家族のために生きて帰りたい。」と言うと白い目で見られるのです。それを言えた宮部さんは勇気のある方でした。 ジャーナリズム批判もありました。戦争を煽ったのもマスコミ、負け戦を隠して戦争を長引かせたのもマスコミである、と。 軍=官僚制度批判もありました。現場を知らないトップが現場の話を聞かず現実離れをした命令をしたり、肝心なところで判断を誤り、何千人もの被害を出しても責任を部下になすりつけたりだとか。 これは経営者の方にも読んで頂きたいとも思いました。最終的に日本が負けたのは、軍が人間を大事にしなかったからでもあると思います。兵隊をコマのように使い、捕らえられたら死ねと教えこまれていたのですから。アメリカ兵は失敗しても生きて帰って失敗を教訓にできたのです。 永遠の0 レビュー にほんブログ村
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Last updated
2013年05月15日 21時55分06秒
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