牡丹の思い出です
牡丹の絵をやっとしあげました。 ぼたんの思い出といえば牡丹にふさわしくない汚い話です。 戦争がはじまった頃のことです。そのころ、父が大病して ようやく退院して療養していたが、淡いピンクの牡丹の鉢植えを 買って家族みんなで大切にしていた。ところが、ある日家の前を 通りかかった荷馬車が大量のお土産を置いていった。父は、それを 拾ってきて、かわいそうに、美しい大輪の花の根元にもりあげていた。 学校から帰ってそれを見つけたとき、わたしはほんとうに 卒倒するほど驚いた。来年も良い花を咲かそうと思ったらしい。 昔は馬も牛も道路でおかまいなしに放出していて、だれもとがめなかった。 ひとびとは寛容であったのか、とにかくのんびりしていたようだ。