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カテゴリ:アニソン・特ソン列伝
♪姿かたちは変わらぬが 鉄をも砕くこの腕さ
夢も希望も昨日に捨てて 戦うだけに生きてゆく ※おれはおれは 新造人間キャシャーン※ 風切るキックうなるパンチ 行くぞフレンダー負けないぞ 鉄の心に涙を隠し 向かうはロボット大要塞 ※~※ 夕陽をうけて指笛ふけば 廃墟の街に嵐呼ぶ たとえこの身が砕けて散ろうと それが定めだ俺の道 ※~※♪ 「新造人間キャシャーン」がタツノコアニメだなぁとつくづく思うところのひとつに、メカのスタイル、描写があるんじゃないだろうか? 登場するロボットや兵器の、丸み(というか曲線だね)を帯びながらしっかり硬さをも感じさせるデザイン、色使いは、東映ロボット物のそれよりも明らかに鉄の塊に見える(スーパーロボットたるマジンガーZは別にして、敵対する機械獣ってどこか生物的なやわらかさがあるもんなぁ) 「ゴワッパー5ゴーダム」のゴーダムや「宇宙の騎士テッカマン」のぺガス…しっかり丸くて硬そう。「科学忍者隊ガッチャマン」に出てくるメカの、あの丸さってやっぱり独特なタツノコ・タッチだ。 そしてこのキャシャーン。 劇中よく見られたが、無表情で一糸乱れぬ行進をみせるアンドロ軍団の戦闘ロボット(後にこの行進はタツノコアニメの代表作「ヤッターマン」でゾロメカの登場シーンに受け継がれることになる)。こいつらも丸かった。硬そうだった。 この行進だけで、アンドロ軍団の強大さ、物言わぬロボットの恐怖とその数の脅威がひと目でわかってしまうという、実に上手い描写を見せたものだ。 戦闘シーンも、また。 キャシャーンが手刀でロボットの頭をかち割る。その時のつぶれ方。思わずキャシャーンの手は大丈夫かと心配してしまうほど、鉄の外装を感じさせた。 こういうとこ、タツノコは上手いね。 さて、ロボット兵の行進の様子はエンディングの映像でも印象的に見られる。実際には他の絵もエンディングに出てくるけど、インパクトが一番大きいんだな、あの行進。 そこにかぶる歌が、OPと同じくささきいさおのハードチックなボーカルと活劇然としたアレンジだからたまらない。 いや、一番ハードなのがそこで歌われている詞だ。 “姿かたちは変わらぬが(←この“ぬ”がポイント高い) 鉄をも砕くこの腕さ” 一見ヒーローソングにありがちな、自己能力誇示の詞でありながら、けっしてこれ、自慢しているわけではない。それどころか、己の改造された鉄の体を嘆いているのだ。 それは次のフレーズで解る。 “夢も希望も昨日に捨てて 戦うだけに生きてゆく” 人の体に戻れない悲しみをしかしさだめ(運命)と捉え、アンドロ軍団殲滅を誓い、それを生き様にと決意するキャシャーンの心。 その決意の叫びが結びのフレーズ。 “おれはおれは 新造人間キャシャーン” おれは…と繰り返すところが胸を打つ。単なる自分の境遇に悲観するだけではなく、それを自分の道と捉える強さ。このあたり、重みを感じさせるな。 2、3番も同じ構成のつくり。ちなみに私が特に好きなフレーズが、3番の “夕陽を受けて指笛ふけば 廃墟の街に嵐呼ぶ” ってところ。なんとも情景が目に浮かぶじゃないか。ふと思うが、夕陽が似合わぬ輩はヒーローと呼べないのかも…。 アレンジもまた凝っている。 演奏している楽器のすべてが猛々しい嵐のようにリスナーの耳を直撃する。激しく叩きつける音色は、キャシャーンの激闘ぶり、いやキャシャーンの心情すら表すかのようだ。 ♪夢も希望も昨日に捨てて…♪ 先にも挙げたこのフレーズの部分から二拍ごとに入るドラムの“タン タン タン…”が際立って良い。もう菊池俊輔さん、どうしたらこんな風につくれるんだ!的カッコよさがそこにある。 曲中二回ある間奏の使い分けも手抜きなし。激しさの中に情感を織り込むのは菊池節の真骨頂だ。 そして、イントロと同じメロディを使いながら、あえて最後の最後にちょっと崩す終奏の妙。匠だなぁ…。 ささきも、ファーストアニソンがこのキャシャーンでよかった。同じ菊池作曲作品の「○○からの○。○ー○」なんかでデビューしていたら、その後の活躍はもしかしたら…(言い過ぎか) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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