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カテゴリ:アニソン・特ソン列伝
♪あたたかい人の情けも 胸を打つ熱い涙も
知らないで育ったぼくはみなしごさ 強ければそれでいいんだ 力さえあればいいんだ ひねくれて星をにらんだぼくなのさ ああだけどそんなぼくでも あの子らは慕ってくれる それだからみんなの幸せ祈るのさ 吹く風が冷たいときも 降る雨が激しいときも 目を上げて明日に希望をかけたのさ ああだからきっといつかはあの子らもわかってくれる みなしごの正しく生きるきびしさを みなしごの正しく生きるきびしさを♪ その昔「日本三大暗い歌」なんてのが挙げられたことがある。ひとつはアリスの「帰らざる日々」、もうひとつはさだまさしの「防人の歌」。そしてそれらと共に選ばれた(誰に?)のが、アニメ「タイガーマスク」のエンディングテーマ「みなしごのバラード」だ。 まぁね~、ボロボロと爪弾かれる生ギターに哀愁漂うハーモニカ、そして張りがありながら寒さに震えてるかのごとき新田洋のさみしげなボーカルは、明るさというものから無縁の世界を醸しだしているのにはまちがいない。 加えて、これが流れるエンディング映像。♪知らないで育ったぼくはみなしごさ♪にかぶる木枯しの効果音(テレビ版のみ)と、廃墟か焼け跡か?といったところをうろつく幼少の伊達直人(タイガー)がとどめ。 私など、CDなどで聴くといつもこのシーンが思い浮かぶほどだ(あとは直人さんの哀愁を帯びた顔のアップと山吹色のコートの後姿と…)。 しかし、だからといってこの歌をただ“クラい”のひところで片づけてもいいのだろうか? いや、イカン。イカンのだ。なぜならば…。 “ああだけど…”みなしごゆえに世間をやぶにらみしていた過去を持つぼく=タイガーマスクを、あの子ら(タイガーが表になり陰になり目をかけている、かつて彼の育った施設「みなしごハウス」の面々をはじめ、彼にあこがれる不幸なみなしごたち)は慕ってくれる。 “それだから”みんなの幸せを祈らずにはいられない…。 メロディもボーカルも確かにクラい。が、歌われていることは決してそうばかりではないのだな。 これはただひとり、自分の戦う姿とファイトマネーをもってみなしごたちを幸せにしてあげたいと願い、命をかける男の決意、生き様の歌なのだ。 ところでこの「みなしごのバラード」ではもうひとつ語らなければならないところがある。 曲を覚えている人は、口ずさみながら指揮者よろしく指タクトを振ってみよう。途中から指が合わなくなるんじゃないかな? そう、これ、三拍子と四拍子が混在した歌なのである。 レコード版ではイントロの四小節が四拍子、歌に入ってからは(テレビではここから始まる)♪ひねくれて星をにらん♪まで三拍子、♪だ、ぼくなのさ~♪からまた四拍子に。 菊池さん、ウルトラタイガードロップなみの高度な技を見せてるなぁ。 今、カラオケでこの歌を熱唱する人がどのくらいいるかは知らぬが、もし機会があったらそこを意識して歌ってみよう。できれば、赤いハンチング帽にコートを身にまとい、夏でも木枯しの冷たさを思い出しながら…。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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