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カテゴリ:アニソン・特ソン外伝
以前にもこのブログで取り上げた人物、元日本コロムビアのディレクター木村英俊さんは、そりゃぁそりゃぁアニソンに対して心血を注いだ方だった。
アルプスの少女ハイジや一休さん、キャンディキャンディにマジンガーZにガッチャマン…誰もが知っている、そして誰もが口ずさめる、昭和40年~50年代にかけての主だったアニソン・特ソンは、大半が彼の手によるもの(コロムビア販売のものに限るけどね) 彼の著による「アニメソング-ヒットはこうして作られた」(角川書店・刊)を読むとわかるんだけど、どの歌もはっきりアニメソングとして認識し、アニメソングとして作ろう、という姿勢がうかがえる。 無論その中には、アニソンボーカリストの発掘・育成も目的には含まれていよう。しかしあくまでも作成の中心には、番組の顔たるアニメ主題歌の、確固たる位置づけが間違いなくあった。 そして、決して勘違いしてはいけないのが、アニメ=子供向き(特にあの当時の風潮として)だからと、その歌を軽んじる、手抜き作業、などといったものとは無縁であったということ。いやむしろ子供に聴かせるからこそ、本物志向に徹していたのである。 歌とて商品。売らなきゃいけない。その、売るためのポイントを、木村さんはボーカリストの知名度や安易なタイアップにではなく、歌い手の表現力も含めた楽曲のクオリティに求めた。 「おしえて」(ハイジOP)のヨーデル、アルペンホルンの音色。 「原始少年リュウがゆく」で水木一郎を採用したプロセスと、彼の才能を信じて使い続け、アニソンの第一人者に育てたこと。 「よあけのみち」(フランダースの犬OP)の製作苦労…。 (イントロのフランドル語♪ラララ ラララ ジングンジングン クレーヌ ブリンダース…♪は、“歌ってちょうだいかわいい蝶々たちよ…”という意味。本編が悲しいストーリー展開なので、せめて歌だけは明るくしてあげたい、ってな意向だったんだそうだ) ご自身の娘さんの授業参観日、先生の「好きな歌をお父さんお母さんに歌って聞かせましょう」の言葉に、男子が秘密戦隊ゴレンジャーを、女子がキャンディキャンディを大合唱したのを見て“歌が子供に愛されるのは製作者冥利に尽きる思いだった”と著書で綴っている。 いかにアニソンに、自身の仕事に情熱を燃やしていたのがわかるエピソードだ。 だからこそ、ともすりゃ生まれる前の歌なのに今の若い人たちでも知ってる、歌えるなどといった、息の長いアニソン群が数多く生まれたんだと思う。 そして、今でも私を含め、多くのファンを魅了し続けているんだよなぁ。 今のアニソンに、そんな情熱が感じられるか? アニソンの、アニソン故のこだわりが、感じられるか? “主題歌”“副主題歌”として、番組の顔になっているのか? 予算の面もあるだろう。タイアップその他の事情もあるだろう。それらを含めて、今どきのアニソンがどう検討され、作られているのか私は知らない。 ただ、少なくても。 かつてのアニソンを知り、それらを心の糧とし愛している私の耳には、アニソン故の情熱もこだわりも感じられない。主題歌という顔にも見えない。 挿げ替えても違和感のまったくない主題歌なんて、主題化じゃない。現存のネームバリューに頼った(とした思えない)歌手が歌うアニソンなど、アニソンと呼びたくない。 今のアニソンが、この先10年賞味期限を保っていられるのか? 使い捨てのように、番組終了と共に鮮度が落ちやしないか? このドラマにはどうしてもこの歌じゃなきゃダメ、と、自他共に認められる曲がどれほどあるか? 一部のマニアと話題性に凝り固まってることはないか? 過去の資産を、宝を、功績を安易に喰い散らかしちゃいないか? 求む!木村さん魂! 求む!アニソンらしいアニソン! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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