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元・占い師 ルビー

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2022年04月03日
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カテゴリ:読書
☆ 皆さん、如何お暮らしでしょうか。

 久し振りのブログ更新となりました。読書三昧(ざんまい)の日々を過ごしています。

 最近読んだ本を2冊、紹介します。

 城山真一 (しろやま しんいち)さんの『看守の流儀』

 雫井 脩介 (しずくい しゅうすけ)さんの『望み』

 です。

 私が城山真一さんの小説を読んだのは初めてでしたが、刑務所には沢山の規則があり看守さんたちもご苦労があるのだなと思って読みました。

 登場人物は同じですが第一話から第五話までありますので、一話ずつ空いた時間に読み進めることができます。日本全国の看守さんたちがここまで善意で受刑者たちの更生に取り組んでいたら再犯も減るのではないかと期待してしまいます。

 次に雫井脩介さんは、以前に『検察側の罪人』を読んでおもしろかった事もあり図書館で借りました。

 『望み』という作品は、建築の設計デザイナーの父と作家の原稿の校正を自宅でしている母、高校1年生の息子とその1年半後に生まれた中学3年生の娘の4人家族。

 ある夜に、息子とA君、B君、C君、年齢の近い4人の男の子たちが集まった。

 しかし、翌朝になっても4人がそれぞれの家に帰って来ない事から騒ぎが始まる。息子とも連絡が取れない。

 その後、息子と親しかったA君が遺体で発見される。

 そして目撃者の証言では遺体の傍から高校生くらいの男の子たち二人が走り去ったとの事。

 しかし目撃者は年老いた女性の為、見間違いがあったのではないか。

 目撃者は老眼で、ひとりを見落として二人だと錯覚したのではないか、遺体の傍から逃げたのは本当は三人ではないか、と捜査関係者たちは推理する。

 そして父親は「息子は人を殺すような人間ではないので、A君とは別の場所でBとCに殺されて、すでに死んでいるのだろう。だから、うちの子は被害者だ。息子は生来(せいらい)優しい性格である上に親しいA君に暴力を振るったり、ナイフで刺したりするはずはない。」と考える。

 母親は、「いくら息子が優しい人間であっても、BやCに『Aを殺すのを手伝わなければお前を殺す』と脅(おど)されたら、A君を殺すのに加担したかもしれない。だから加害者かもしれないけど、どこかに逃げて生きている」と思う。

 父親は「息子が犯人ではない事」を望んでいて、母親は「生きている事」を望んでいる。

 「息子は被害者のはずだ。」と父が言うと、母は「あなたは、あの子がすでに死んでいると思うのか。」と反論して喧嘩になる。

 父親は建築デザイナーで、設計を依頼するお客さんにはモデルハウスとして自宅を見せている家庭ではあるが、素敵な建物に住んでいてもお互いに口を利くのも嫌になってきた夫婦、そして母と娘のぎくしゃくした感覚が絶妙に描かれています。

 建物は素晴らしくても、その中に住んでいる家族の結びつきは、意外な事件で綻(ほころ)びるものだと痛感します。素敵なハウスの中は険悪なファミリーになってしまった事が皮肉です。

 ところで現実問題として、親子や兄弟姉妹であっても、また夫婦であっても、自分自身の為に家族を大切に思っている部分があると思います。

 親は子どもが親の思い通りに行動している場合は愛情を注ぐことができるのですが、親の希望通りに子どもがならないで、むしろ反抗するような言動を取る場合は親は愛することが難しいのではないでしょうか。

 そういう意味で雫井脩介さんが、この作品の題名を『望み』とした事に深い感慨を抱(いだ)いてしまいます。

 皆さんも図書館で借りる機会があれば、ぜひご一読下さい。

 文責 ルビー 

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最終更新日  2022年04月03日 01時56分12秒
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