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Choral am Ende der Reise ~旅の終わりの音楽~

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2009.07.02
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カテゴリ:文学の話
ゲド戦記の作者ル=グウィンさんが死ぬほどしびれることを書いているので、ちょっと長いけれど自分のために引用しておきます。
この人、今年で80歳なんて信じられない!






影はわたしたちの心の裏側にいる、意識的自我の暗い兄弟です。
影は心の意識的な面と無意識的な面を結ぶ戸口に立っており、
わたしたちは夢のなかで姉妹、兄弟、獣、怪物、仇敵、案内者の姿をしたこの影に出会います。


影とはわたしたちが自我として意識するものの中に入れたくないもの、入れられないものすべて、わたしたちの内にありながら、抑圧され、否定され、とりあげられることのなかった性質および傾向なのです。



(中略)



意識に受け入れられない影は外側に、他人に投影されます。
わたしにはなにも悪いところはない――あの人たちが悪いのだ。
ワタシが怪物だなんて、ほかの人のほうが怪物なんだわ。


人が現実の世界を生きようと思うなら、こうした投影を引き戻さなければなりません。この憎むべきもの、邪悪なものが自分自身のなかにあることを認めなければならないのです。これは生やさしいことではありません。誰かほかの人のせいにすることができないというのは、とてもつらいことです。



ユングはこういっています。
「自分自身の影をうまく扱うことを学びさえすれば、この世界のために何か真に役立つことをしたことになる。その人は今日われわれの抱えている膨大な未解決の社会問題を、ごく微小な部部員ではあっても自分の肩に背負うという責をはたしたのである」


それだけでなく、この人は成長をとげ、真の共同体、自己認識、創造性へと近づいたのです。影は無意識の戸口に立っているからです。わたしたちは影に、創造性のわきでてくる深みである無意識への道をふさがせることもできれば、そこへの道案内をさせることもできるのです。


影というものは単なる悪ではありません。
より劣ったもの、原始的で、ぶかっこうで、動物的、子供っぽく、一方で大きな力を持ち、生気にあふれ、自発的なものなのです。影は、暗く、毛深くて、みっともないものです。


(中略)


一番醜い部分ではあります。でも一番弱い部分ではありません。
というのは影は案内人だからです。
内へと向かい、再び外へ帰るたびの案内人。下降し、上昇する旅といってもいいし、ホビットのビルボが言ったように行きて帰りし旅と言ってもいい。影は自己認識へ、大人へ、光への旅の案内人なのです。



夜の言葉 ル=グウィン
同時代ライブラリー
岩波書店より






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Last updated  2009.07.02 11:52:47
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