蒼白のロザリオ
血を吸えない吸血鬼
周りからは見捨てられ
大好きな十字架を眺めている
「吸血鬼なんて僕には向いていないから」
誰かの命を奪ってまで
僕は生きようとは思わない
どうせ短い命だから
そんな想いを馳せながら
歩いていた冷たい道
すれ違う人々の中に
君は居た
翼を持たない天使
「許されるならもう一度この空を自由に飛びたいの」
戸惑う僕に
君は言ったね
俯いていた僕は
君の言葉に夢を見て
途切れない空を見上げてた
「君の願いを叶えたいよ」
不器用だけど僕の創った翼
君の背中にそっと付けて
蒼い空を駆け巡る
白い翼が眩しいよ
そして舞い降りた君は
淋しそうに呟いた
「もう少し自由に飛んでいたかった」
静かに瞳を閉じながら
最後に僕に言った
「もう少し早く出逢えていたら」
僕の涙は君の頬に堕ち
傷つけぬよう
優しく血を吸う
月日は流れ
君は今でも
僕の棺桶の中で
十字架と共に眠ってる