Ark
出逢ったのは
少しだけ降る雨の中
苦しそうに鳴くお前は
怯えた表情で
箱の中から出てきたね
差し伸べた手に
摺り寄せてきたお前の頬が
今も恋しいよ
濡れた体を拭いて
綺麗になったお前は
躊躇う事無く腕の中で眠って
僕の夢の中でも
居場所を造っていたよ
ある日お前は居なくなっていた
愛情の欠片も無い
大人の手によって
僕は必死で探した
色々な想いを駆け巡らせて
どれだけの時が過ぎたのかさえ
分からなくなって
立ち尽くしていた僕の前に
お前はもう一度姿を見せてくれた
出逢った時の表情で
不安を隠せない僕に
お前は戸惑いながら寄り添った
何時もより甘えた鳴き声で
決心した僕は
お前を箱舟に乗せ
街中を駆け巡った
「二人の居場所を求めて」
結局見つからなかったその居場所
何時か手に入れてみせるから
その時まで
外の世界で待っていてね